「俺、出てくから」。同棲していた彼氏の直哉はそう言って出て行った。彼女であった理系女子の博美は仕事やライフワークのツチノコ捜しをこなす合間に、なぜ彼が自分と別れたのかを分析するのだが……弾き出された解答は彼女にとって意外すぎるものだった!
博美さんが最高なのです! セリフや思考、回想にまで彼女の真剣さや直向きさがきちんと押し出されているのですけれども、それが絶大なる理系的ズレを帯びているのですね。彼女の話を聞かされた読者は、彼女のお友達といっしょにツッコまされるよりありません。そりゃ振られるわ!
と、そんな大真面目だからこそ際立つ外連味を見せつける博美さんだからこそ、気にさせられるのです。彼女が弾き出す意外な答とはいったいなんなのか? 主人公の人となりでもってミステリー的な引きを為す、まったくもって小憎らしいほどの巧緻ですよねぇ。
理系女子の紆余曲折がラストシーンで得も言われぬ風情を匂い立たせる、高純度キャラクター恋愛小説です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=髙橋剛)