「ロベスピエール?誰それ?」
フランス史に興味のない人、世界史選択じゃなかった人はそう思うかもしれない。
本作はフランス革命末期、一瞬だけ歴史の表舞台に現れたロベスピエールを主人公とするフランス革命やり直し物語である。
フランス革命といえばナポレオン、マリーアントワネット、ヴェルサイユの薔薇のオスカル……。
派手なキャラがいくらでもいるのに、なぜこんな弁護士出身のギロチンの申し子を選んだのか?それは本作を読めば明らかである。
冷徹で合理主義なロベスピエールが三部会を手始めとして、血を流すことなく次々とフランスに革命をもたらす様子は圧巻。
歴史が苦手な人も、内政物としてぜひ読んでいただきたい一作。
歴史に興味を持った人なら、「もしも、あのときこうだったなら」という妄想をめぐらせてみたことは少なくないと思います。過去は華やかな成功や繁栄だけに彩られたわけではなく、むしろ、その下に大きな失敗や犠牲がつきものだからです。
もちろん起きたできごとは変えられないのですが、そのあらましを知る現代人の目からすると、失敗の原因も回避できそうな気がしてきてしまいます。だいたいの人は悲劇よりハッピーエンドの方が好きでしょうから、どうにかして「なかったこと」にできないものかと、つい考えてしまうのですね。
その妄想を形にする手段として、いくつもの伝説や物語が綴られてきました。古くは源義経が大陸でチンギス・ハンになったり、明智光秀が天海僧正になったり。近年では織田信長が本能寺で死なないような話もあると聞きます。
おそらく、本作もそうした流れのなかから生まれてきたもの、といっていいのではないかと思います。
ただし、少々特異なのは、その対象が日本人にはなじみの少ないフランス革命だということ。そして、その中心人物として、ロベスピエールを選んだことにあります。
ご存じでしょうか、ロベスピエール。
フランス革命政府の公安委員会として、数多くの反対派を粛清し、独裁的な恐怖政治を行ったとされる人物です。
もっとも、このレビューを書くにあたり軽く調べたところでは、そうした冷酷無比なイメージは、生き残りの同時代人によって、すべての元凶のように印象操作された面がなきにしもあらず、という感じのようではありましたけれど。まあ、それはそれとして。
皮肉なことに、彼自身もまたクーデターによって捕らえられ、ギロチンにかけられることになりました。その、死へと向かう短い道行きでも、なお「何を間違えたのか」と考え続けたロベスピエールが、首を落とされた瞬間、革命前夜のパリへと舞い戻るところから、この物語は始まります。
それは、彼が断頭台へ送った1376人が、まだ誰も死んでいない世界です。ここからなら、失敗を「なかったこと」にして革命をやり直せます。
かくして、過去の自分へと逆行転生したロベスピエールが、今度は一滴の血も流さない革命を目指す、というのがおおまかなあらすじ。
率直に言って、まだコンピューターのコの字もない時代の人が、アルゴリズムだのコードだのバグだのといった言葉で物を考えるだろうか、という疑問はあります。地の文とはいえ、この時代にはない水力発電を比喩に出されたときも、時代考証どうなってるのか、と心配になりました。
しかしながら、そうした些細な言い回しに引っかかっていては、今作のおもしろさを大きく見落とします。これらは現代人にわかりやすくするため、翻訳されているのだ、とでも思えばいいのです。
冷徹で合理的な性格をした本作のロベスピエールは、あまり心情を多く語ってくれません。ですが、少し先の未来での失敗を繰り返すまいとする彼は、誰も殺さずに問題を解決しようとします。はからずも、その姿勢は現代日本人にとって共感しやすいものになっているよう思え、次にどんな手を打つのかと興味がひかれます。
なにより、ルイ16世もマリー・アントワネットも死なないフランス革命なんて見たことがありません。優秀だが野心家なナポレオンを、皇帝にしないままロベスピエールが使いこなせるのかも気になるところ。
この革命的なフランス革命がどこへ終着するのか、見届けたいと思わせる一作です。
現時点(2026/08/18)で☆61ですが、ぶっちゃけ☆1000くらいあってもいいんじゃないかと思います(このレビューがもっと多くの人にこの作品に触れてもらえるきっかけになれば幸いです)
とりあえず、最初は信じて10話くらいまで読んでください! ハマるから!
私はハマりました! 更新楽しみにしております!
みんな!最新話で会おう!待ってるぜ☆
では、あらすじ紹介↓
テルミドールのクーデターで失脚したロベスピエール
処刑の時になり、もし最初からやり直せるのならギロチンによる恐怖政治をしないと誓うロベスピエール
そしてギロチンの歯が落ちたとき、彼が目を開けると――フランス革命の始まり『球戯場の誓い』、そのときに逆行していた!
この時点ではまだ無名のロベスピエール
しかし、彼は演説によって、暴力をも厭わない人々を鎮め、『一滴の血も流さない』あざやかな革命の『システム』を提案する
やかて、革命はフランスに空前の繁栄をもたらし、ヨーロッパ各国を巻き込んでいく――
この物語のテーマを、私は『贖罪』と思っています
ロベスピエールの行動は一見、冷静沈着のようですが、その行動の根底には、恐怖政治への贖罪というものがあり、重要な行動選択の際に関わってくるからです
次に、激推ポイントを紹介↓
①無双というより内政系
逆行して記憶を持っているのは無双状態だしチートっちゃチートですが、基本的にはロベスピエール自身の頭の良さで、前回の失敗を分析しつつ、暴力ではなくシステム設計で革命を起こす。次は何をやるんだと、こちらまでワクワクしてくる。そこら辺の描写が丁寧で、結果だけでなく過程まで楽しめるので、内政系が好きな人にオススメです。
②豊富な登場人物
フランス革命に欠かせない人物はもちろん、ラヴォワジエ(質量保存の法則の人、この作品で私は彼がフランス革命時に処刑されたことを知った)やフルトン(蒸気船を実用化させた人)といった科学系・技術系の人から、スペインの王様貴族などなど、幅広い同時代人物が出てきます。作者様の知識の広さ、深さには感激です。
③内容が、濃い
最初の方で描写が丁寧と触れましたが、1話だいたい5千字とかなのに、長さを感じない。やはり、文章が上手でいらっしゃって、1話1話が濃密だからなんだと思います。
最初の方は、WEB小説のスピード感に慣れている人には遅く感じてしまうかもしれませんが、それは、主人公が処刑回避のため脳内計算する描写が丁寧なだけなので、ぜひ、とりあえず10話とかまで読んでください!
ちなみに、私が好きなのは24、25話です
たった今、スペイン編まで読み終えた所ですが。
この作品にもっと☆をつけたい!
4つ、いや、5つ、あるいはもっとつけてもいい!
そのくらい面白い。
もちろん万人向けの面白さではない。
この作品を面白く読むためには最低限の世界史の、特にフランス革命前後の知識があった方が良い。
でも皆さん、考えてもみてください。
例えば面白そうなゲームがあったら、懸命にルールを覚えようとするでしょ?
この話を面白く読むために、フランス革命について学ぶべきだ。
この作品にはそれぐらいの事をするだけの価値がある。
……とまあ、カクヨムのいち読み手としての感想はここまで。
カクヨムのいち書き手としての偽らざる本心を言わせてもらえれば、
ぐやぢいぃい!
自分もこんな作品が書きたいぃい!
(床をゴロゴロしながら)