故郷を奪われ、呪いを抱えながらも、真相を追うために王立学園へ入学したノルンの物語です。
まず惹かれたのは、作品全体に漂う「霧」と「錆び」のような空気感でした。
過去に起きたクローデル領の惨劇、ノルンの身体を蝕む呪い、そして学園の表向きの華やかさの裏に潜む陰謀。
明るい学園生活が始まったはずなのに、どこか常に不穏な影が差している構成がとても魅力的でした。
ノルンは、軽口を叩いたり、人当たりよく振る舞ったりする一方で、内側には消えない怒りと責任を抱えています。
その二面性がとても印象的で、彼が何を隠し、何を取り戻そうとしているのか、読み進めるほど気になっていきました。
また、アレンやセリアとの学園でのやり取り、王女フェリシエルとの緊張感ある会話、そしてルクレツィアとの距離感の変化も楽しかったです。
特にルクレツィアは、最初の冷たさから少しずつ信頼が生まれていく流れが丁寧で、第一章の終盤ではすっかり好きなキャラクターになりました。
戦闘描写も迫力があり、ただ力で押し切るのではなく、観察し、考え、状況を利用して突破口を見つけていくところが面白かったです。
失われたものを取り戻す物語でありながら、仲間との関係や世界の謎も大きく広がっていくので、長編としての読み応えを強く感じました。
第一章だけでもかなり濃密で、ここから学園に潜む影やクローデルの真相がどう明かされていくのか、とても楽しみです。
本作は、襲撃により故郷と一族をすべて失った主人公「ノルン」が、正体を隠して王立学園へ潜入し、黒幕の秘密組織を追う骨太なシリアス展開で描かれる一作となっております。
テーマとしては、主人公の抱える宿命の重さに、読み手として、胸が締め付けられる想いを受けますが、作者様の魅力はもう1つあります。
それは、王道と捻りが絶妙に絡み合うキャラクター陣です。
ノルンの正体を見抜いてくる「天才王女」や、嫌々ながらも冒険を共にしてくれる「ジト目エルフ」など、魅力的なヒロインたちとの関係性が物語を彩り、テーマと調和しています。
シリアスとコミカルが混在しつつ、緻密な陰謀や貴族間の争いへと繋がっていく筆力が、次への期待を高めます。
「魔法を使うたび心が錆びる」呪いを抱えた生き残りの少年が、天才王女やエルフの少女と交錯しながら故郷を滅ぼした黒幕へ迫る、重厚な設定と緊張感が光る学園潜入復讐ファンタジー。
王道でありながらも、エンターテイメントとしての魅力が沸き立つ筆致。
興味を刺激された方は、ぜひ一度お読みいただければとおもいます。
第36話のタイトル「俺の正義に殺される」この一行が、作品の本質を鋭く言い表しています。
滅んだ辺境伯家の生き残りノルンが正体を隠して王立学園へ潜入し、故郷を壊滅させた秘密組織《クラック》を追う骨太な復讐譚でありながら、「魔法を使うたびに心が錆びていく」呪いという設定が、単純な無双ものとは一線を画しています。力を使うほど代償を払う主人公、という構造が物語に緊張感を与え続けています。
1章「黄昏の呼び声編」から2章「正義のミカタ編」へと続く全36話・12万字超、毎日更新中。天才王女フェリシエル、ジト目エルフのルクレツィアキャラクターの名前からも世界観のこだわりが伝わります。
「このライトノベルがすごい!WEB大賞」応募中の注目作です。