主人公に襲い掛かる1/6うらしま太郎状態はスマホや配信、様々な規制やルールの整備がもたらした便利さによって、少なかれ平和ボケした探索者の現状に鋭いメスを入れる。その切り口は現代ファンタジーな世界観の仕様をやわらかく導入し、質感をさらにリアルなものへと押し上げるための一役を担う。
作中において確かな実力者である主人公が「盾」としての矜持を身に傷つきながら悪に挑んでいく状況は、ソロになってしまいがちである。それは現代の探索者の頼りがいのなさが関わってくる。しかし、彼の背の奥にはかつての仲間たちの姿や、新しくできた守りたい若き才能たちの存在があり、目下のソロ状態に反して「盾」としての責務はいつの間にか大きくなっているように感じられる。
それでも、パーティ単位だった役割がギルド全体ないしは探索者全域にまで広がったところで彼を突き動かすものがなにも変わらないことを、戦闘中に垣間見える自我や捨て身さのある行動が証明してくれるのである。
そこには仲間たちとの共闘の際に発揮されるであろう「盾」としての将来性も多分に詰まっており、今後の展開に目が離せない吸引力となって読者の心を掴みにかかる。
パーティの前衛として仲間を守る「盾」の役割を全うするための狂気は、守るものがいない状況でこそ真の姿を見せること。
私たちはその勇姿を目撃するのだ。
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