俳句部を舞台にした、淡くて少し切ない青春短編です。
好きな人に想いを伝えたい。けれど、いざ言葉にしようとすると怖くなる。その揺れる気持ちが、十七音という短い言葉の中にぎゅっと込められていて、とても胸に残りました。
特に魅力的だったのは、主人公と部長の距離感です。俳句は少し不器用なのに、誰よりも楽しそうに一句を詠む部長。その明るさに惹かれながらも、踏み出せない主人公の臆病さがとても瑞々しく描かれています。
文化祭の展示に紛れ込ませた「お互いに向けた一句」を探すゲームも、とても素敵でした。二人だけの秘密のような仕掛けが青春らしく、短冊に隠された想いを追う時間に、こちらまでどきどきしてしまいました。
そして最後の一言が本当に良かったです。
届いていないようで、実は届いていたのかもしれない。言えなかった想いの余韻が静かに残る、優しくて切ない作品でした。