第24話 かき氷
お店は賑わっている。
川沿いにあるカフェで、確かに男の人一人だと浮きそうだ。
店内に案内される。
「何がおすすめなんですか?」
ソラはカイに訊ねる。
「このかき氷が夏季限定らしいよ。いちごがすごい乗ってる……」
カイは嬉しそうにメニューを見ている。
「それじゃあ私、それにします」
同じものをそれぞれ二人で食べる。
「冷たい! 美味しい」
「結構大きいけど、全然食べられちゃいますね!」
ご機嫌で食べ進める二人。
「橘くん?」
女性が声をかけてきた。
「やっぱりそうだ! かき氷とか食べるんだ、意外だねー」
大学生だろうか? ミニスカートで髪の毛が巻かれている。連れの女性も似た格好だ。
「うん。まあ……」
カイは一瞥して、食べる手を止める。
「妹さん? まさか彼女じゃないよね?」
女性がソラをチラッと見る。
これは……私の事、値踏みしてるな。
「……彼女だよ」
カイが感情のない声で答える。
「え?」
驚く女性。
え?
女性以上にソラが驚く。スプーンをお盆に落とした。
カイさんは女性の方を向くと、営業スマイルを作った。
「だから、邪魔しないでくれる?」
その笑顔に撃沈された女性。目が釘付けになっている。
「う……ごめん、邪魔して!」
顔を赤くして、そそくさとお店から出ていく二人組。
「めちゃくちゃカッコいいじゃん!」「あの笑顔は反則!」「彼女いたんだ」
遠くで話す声が聞こえる。
しばしの沈黙。
「ソラちゃん、ごめん」
カイが俯いて謝る。
「同じ大学の子だと思うんだけど、絡まれる事多くて……今の人も名前分からないんだ。彼女いるって言えば、静かにしてくれるかなって。ソラちゃん利用した。ごめん」
かき氷から水が滴りはじめる。
「カイさん! かき氷溶けちゃいますよ!」
ソラは気が気でない。
「え?」
カイはソラの発言に驚いている。
「別に利用してもらっていいですよ? それより早く食べましょ!」
ソラも食べはじめる。そんなソラを見つめるカイ。
「ありがと。食べるね」
カイも食べ始めた。
甘酸っぱい味に癒される二人であった。
「ただいま」
カイは帰宅する。
「お帰り〜」
「武尊、いたのか」
武尊はカイの家に仕えている為、ちょくちょく出入りしている。
「あれ? なんか良いことあった?」
武尊が気付く。
「あーうん、まあ……あ! 武尊に任せたい事があるんだ」
カイは話を逸らした。
◇
翌日、夕飯の準備を手伝っている狸がいた。
狸の男の子は武尊の家、もとい、カイの家の橘家で居候する事になった。
「こちらでしばらく厄介になります。うまく変身出来るようになるまで、宜しくお願いします」
狸の男の子は、カイに丁寧に挨拶したのだった。
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