第4話 日常
「おはよー。ソラ、バイトどう?」
朝登校するとモモが話しかけてきた。
「おはよ。うん、まあ。いいバイトだよ」
無難に答える。ウソを付くのは苦手だ。
「イケメンいる?」
目をキラキラさせている。女子高生らしく恋愛とイケメンに目がない。
「うん、イケメンなのかな……」
カイさんを思い出しながら答える。
「ソラが認めるなんてよっぽどじゃん! 身長どれくらい? 何歳? 彼女いる?」
矢継ぎ早の質問にたじたじするソラ、
「身長……けっこう高いんじゃないかな。年齢は私達のちょい上位で……彼女は知らない」
「えええ、見たいー! バイト先行っちゃダメ?」
「だめだよ」
顔や態度には出ないが内心焦るソラ。
「そんなぁ、私もイケメンとお知り合いになりたい〜」
残念そうなモモ。
「なになに何の話?」
横から高橋君が話しかけてきた。
「んー、どこかにイケメンいないかなって話」
モモが答える。
「えー、ここにいるじゃん?」
高橋君が自分を指して言う。
「高橋はお笑い担当でしょ?」
モモが笑いながらツッコむ。
おちゃらけ担当の高橋君。イケメンというよりは愛嬌のある顔をしている。
それにしても、動物が話すなんて……
なかなか面白い現象だったな。
「犬飼さんて、彼氏いるの?」
ソラが昨日の事を考えていると、高橋が話しかけてきた。
「え? いや、いないけど……」
ソラは急に自分に矛先が向いて驚いた。
「そっか、いや犬飼さん狙いの奴、結構いてさ!」
私狙い?
「ちょっと高橋! ソラはそういうの嫌いなんだからやめてよ」
モモが助け舟を出す。
「お! ひがみか?」
高橋は見当違いな事を言っている。ソラは心の中でため息をつく。
やだな……
勝手に好意を持たれ、勝手に嫉妬される。私は引きこもってゲームしてれば幸せなのに。目立つ所へ無理に連れて行かれるような感覚。
◇
少し重い足取りでバイトへと向かうと、バイト先には先客がいた。
「やっほーソラちゃん、元気?」
ミーちゃんが話しかけてきた。相変わらずである。
現実からかけ離れた展開に、重い気持ちが霧散した。
「ミーちゃんは飼い猫なんですか?」
ソラは猫と会話してみた。
「ううん、飼われてたり、野良になってみたり色々。今はこのお店の近くで、おじいちゃんと暮らしてる〜」
そんな自由な感じなんだ。
「ミーちゃんって何歳?」
「それは、内緒!」
ミーちゃんはゴロゴロしながら答えてくれない。
猫は長く生きると猫又になるって聞いたことあるな。
「それは残念です」
「すごいね、もう慣れたんだね!」
カイが思わず声をかける。
怖がったり、現実を受け入れられず逃げ出すこともなく、普通に会話するソラは珍しいらしい。
二人の会話をカイさんが見守っていた。
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