『俺の右手に悪魔がいる件』。
実に興味深い題名です。
悪魔とは契約によって人を惑わす存在なのか、それとも人の心に潜む欲望そのものなのか。
そんな問いを抱きながら読み始めました。
右手に宿る悪魔という非日常的な設定でありながら、物語は奇抜さだけに頼ることなく、主人公と悪魔との絶妙な距離感を丁寧に描いています。
互いに利用し合うのか。
信頼が芽生えるのか。
その駆け引きが実に魅力的です。
作品全体にはどこか妖しく、上品なダークファンタジーの空気が漂い、ページをめくるたびに「次はどんな取引が待っているのだろう」と期待が膨らみます。
人は悪魔を恐れます。
しかし、本当に恐れるべきものは、悪魔ではなく、それを受け入れようとする人間の心なのかもしれません。
甘美で危険。
そんな二つの香りが同居する世界でした。