笑った。
ツッコんだ。
思いきり振り回された。
それなのに――ふいに、胸の奥へ「会いたい」という思いが飛び込んでくる。
何なんだ、このテーマパークは!
西の天才テーマパーク探偵・ハッタリと、愛しのあかねちゃんへの思いで頭がいっぱいのタテノ。
二人が挑むのは、園内で囁かれる「テーマパーク七不思議」です。
――とはいえ、最初に判明している不思議は、まだ三つ。
残りの四つは、解決するどころか探すところから始めなければならない!
この時点で、もう普通の七不思議ではありません。
タテノの思考は、暦の話からバレンタインへ、あかねちゃんへの恋心から思わぬ方向へと、勢いよく飛び回る。
ハッタリは自信満々にハッタリをかまし、なぜか自分で捜査の手間を増やしていく。
会話は盛大にすれ違うのに、二人の掛け合いだけは恐ろしいほど息ぴったり!
次々と繰り出される言葉とツッコミに、笑いが止まりません。
登場人物たちも、とにかく濃い。
名前を聞いただけで忘れられない人。
口を開けば、その人にしか生み出せない空気で場を支配してしまう人。
誰もが自由で、予測不能で、最高に愛おしい!
まるでアトラクションに乗せられたように、読者は物語の勢いへ巻き込まれていきます。
しかし、この作品は、ただ笑って終わる物語ではありません。
冒頭で語られるのは、全員の答えが揃う問いの難しさ。
二月は冬なのか、春なのか。
目の前にいる人は、善人なのか、悪人なのか。
一見すると愉快な寄り道に思えるこの問いかけが、物語を読み進めるほど、違う響きを帯びてくるのです。
人は、一つの言葉だけでは決められない。
変人なのか、探偵なのか。
知らない人なのか、友達なのか。
笑っているのか、寂しさを隠しているのか。
楽しさと夢に満ちたテーマパークにも、誰かに会いたい人がいる。
誰かを待ち続けている人がいる。
もう一度、一緒に笑いたいと願う人がいる。
カオスな笑いの勢いを一度も失わず、その奥から「孤独な僕達」の思いを、そっと浮かび上がらせていく。
この明るさと切なさの共存こそ、むーん🌙様の物語がもつ大きな魅力です。
ばらばらに見える七つの不思議は、これからどこへつながっていくのか。
大笑いしながら謎を追い、気づけば登場人物たちの「会いたい」に心をつかまれている。
愉快で、不思議で、とびきり優しいテーマパークミステリーです!