ストーリーは内戦に巻き込まれて命を落としたはずだった少年・井馬多と「神」と名乗る少女(後に楓)との出会いから本作は動き出します。
本作は「神」という存在を巡る物語ですが、基本的に軽快な会話文で重苦しい空気が意外とありません。しっかり締めるところは締めていますが、面白さの方が勝っています。読んでいると『物語シリーズ』を思い出してしまいましたね。
あと、そのやり取りを繰り広げることになる神と名乗る少女・楓は面白ことこの上ないです。見た目は最高クラスに美少女。出ることはしっかり出ている理想的な美少女です。
しかし、本作における「神」なので何かにつけてミステリアスです。正確には、謎しかありません。彼女を追いかけていてもページは進んでしまうぐらいに魅力的な存在です。
そして、「神」という根幹。これを哲学的に定義し、しっかりした例え話を交えながら繰軽快なトークと楓たちの個性が繰り広げる物語は本当に面白い。
ー「神」とは何か?
さて、そろそろ物語は完結へ。
人と神の物語を最後まで見届けさせていただきます!!
少年は今際の際に願った
誰とも知らない白い人に言葉を遺した
神になりたいと
自分が神であるならば、こんな世界にはしないのに
果たして目を覚ました少年は、神にはなっていなかったが
神を名乗る少女の訪問を受けることになる
神は平等
神は特別を許さない
神はいかなる悪を……
神の定義。
その全てから外れて特別であることを少年は許された
神である少女と過ごした運命の四日間
その果てに少年は、世界の理を知る
あの日の自分が願いが
とんでもない重責を少女に負わせ
やがて途方もない結果に至ること
そんなに万能なのに、聡明なのに
何故、神はその危うさに気付かない?
仕組んだのは白い人
これではいけない
気づいてしまった少年がとった道は?
約束の地で再び二人は出会えるのか?
神の特別に名前が付いた時
奇跡が起こるかも?
あなたにとって神とはなんですか?
【レビューコンテスト応募】
主人公の蛹井馬多は、宗教対立と貧富の格差が原因で起きた苛烈な内戦に巻き込まれ、家族を失ってしまう。
深い傷を負い、絶望の底にいる彼のもとに少女が現れたことで彼の傷は癒え、内戦も突如として終結。
さらには「私は神です」と名乗る美少女が彼の家を訪れ、「自分は君の願いから生まれた神だ」と告げる——。
そこから始まる二人の奇妙な共同生活という、まったく予想もつかない展開に冒頭からグッと引き込まれました。
「神」という存在を哲学的に定義し、人間社会に生じる差別や矛盾を丁寧に拾い上げながら、「もし本物の神であるなら、この矛盾をどう解決するのか」という深いテーマを提示してきます。
戦争の描写はとてもリアルで、現代社会の紛争の暗喩であるかのような強い印象を受けました。
それでいて、序盤のシリアスな空気から一転し、神が登場してからはコメディ色も一気に強まっていくところにおかしみを感じました。
神とは何か——。
誰もが一度は考える深みのあるテーマを、時に軽快なタッチで、時に鋭く描いていく本作。
まだ拝読の途中ですが、これから物語がどのように広がっていくのか、とても気になります。
現代社会の歪みを鋭く突いた、この深みとユーモアに満ちた物語をお楽しみください。