最初は「漢字の豆知識が読める作品かな」と思っていました。
けれど読み進めるうちに気付かされます。
これは漢字の解説ではなく、漢字を通して人間や世界を見つめ直す作品なのだと。
『怒』から『息』へ。
『息』から『憎』へ。
そして『苦』へ。
一つひとつの漢字が独立した知識ではなく、まるで物語のようにつながっていく構成に思わず唸りました。
もちろん、漢字学としての正確さを競う作品ではありません。
むしろ漢字を自由な発想で見つめ、そこから人生や感情について考える『言葉の散歩道』のような魅力があります。
毎回短く読めるのに、不思議と余韻が残る。
「ああ、そんな見方もあるのか」
と立ち止まらせてくれる文章がたくさんありました。
普段何気なく使っている漢字たちが、少し違った表情を見せてくれる作品です。
漢字が好きな人はもちろん、言葉や詩、哲学的なエッセイが好きな人にもおすすめしたくなりました。