精神科医の揺れ動く心が、こんなに鋭く描かれた作品がこれまでにあっただろうか?ともすれば、医師自身も疲れ果て病んでいるのかもしれないと気付かせてくれた小説です。救う側も、実は助けを求めている?医療倫理とペルソナだけで、精神病患者に向き合い続けるなんて地獄過ぎる。「一人でいい、せめて理解者を…。」紙粘土に浮かび上がる、そんな切実で残酷な声なき聲が聴こえる、そんな作品です。