もと神さま、異世界で2ndライフを堪能する。
可燃物
プロローグ
第1話
もう二度と開かれることはないと、覚悟をして瞳を閉じた。
クソッタレな人生だった。
生まれると同時に、「世界を救うための神になれ」
そう言って一方的に大層な役目を押し付けられた。
死ぬことすらも、管理された。
「世の中のため」なんて御託を並べて、人権をガン無視して、拷問まがいの実験をされまくった。
「世界を救うため」なんて大義名分を振りかざして、沢山の命を物のように扱う。
クソみたいな大人ばかりだった。
俺は犠牲者であり、だが、加害者側でもあった。
だから、俺もクソみたいな人間だった。
自覚している。
通称「スキル」
化学兵器の濫用によって遺伝子改変された、次世代の子供たちから偶発的に発現した、フィクションの世界でしか存在しなかった特殊能力だ。
程度の差こそあれ、自然の力を操ったり、他者の思考を読み取ったりできる。
機械では再現出来ない、まさにファンタジー的技能。
化学兵器生産よりも世界を汚さず、なによりお金がかからない。
手っ取り早く他国を出し抜ける可能性を秘めた「スキル」の解析と人工生産は、年をまたぐごとに苛烈を極めた。
俺は長年の実験の積み重ねにより、意図的に任意の「スキル」を持つよう人工的に生み出された、「神の名を冠するスキル」持ちの子供の一人だ。
生まれながらにしてご大層な“お役目“を背負わされた被害者である。
だがその“お役目“を遂行するために、沢山の命を「力」を得るために奪ってきた、加害者でもある。
「スキル」は、ある条件が揃うと、自分のモノにできる。
その条件の一つが、スキルを持つ相手を殺すことだった。
殺して、奪う。
言葉にすればただそれだけのこと。
相手に拒否権なんて与えなかった。
俺にも、同様に拒否権は与えられなかった。
苦痛だった。
やりたくなんて、なかった。
だけど、後戻りなんてできない。
させてもらえるわけが、ない。
だから、幾人もの仲間を屠る行為を、最期まで遂行した。
俺が自分の命を“お役目“のために捧げたのは、罪滅ぼしのためなんかじゃない。
犠牲になった命をムダにしないため、なんてキレイ事のためだけでもない。
大事な友達が出来た。
唯一無二のかけがえなのない存在が出来た。
そいつらに未来を与えられるなら。
そいつらが俺の代わりに明日を生きてくれるなら。
それなら、世界を救ってやってもいいかなって思えた。
どうせ俺が役目を果たさず放っておけば、世界は滅びてしまうことが、確定していたのだから。
尊い犠牲になった仲間たちには、来世で幸せになれるよう、地獄で詫びよう。
お前らの大切な人たちにも、明るい未来が来るよう祈ろう。
自分勝手に、心に折り合いをつけた。
共に過ごした仲間から奪った「地」「水」「火」「風」のスキル。
それと計画の主犯から強奪した「闇」と「光」のスキル。
親友から掠めた「完全再生」
最愛から盗んだ「絶対破壊」
その全てのスキルを使い、不完全だった俺の人工発現スキル「万物創造」を完全なものとし、奪って来た数々の命から得た生命エネルギーをもってして、地球を破壊、再生、再構築した。
今世のように人間同士が争い、自分たちの住む土地を壊すことのないような、平和な世界を祈るように創造した。
……その、つもりだ。
創造するための想像力の訓練も、知識の修得も、血反吐を吐いてもやり続けた。
うまくいったと、思いたい。
俺はその世界を、見ることは出来ない。
「スキル」の能力が強過ぎて、ベースとなる地球があっても、世界を一つ創り出すのだ。
人間の肉体では、とてもじゃないが耐えられない。
まるで神様にでもなったような行いを、ノーリスクでできるわけがない。
分かっていた。
それでも、楽しかった日々が。
みんなの笑顔が。
走馬灯のように頭を駆け巡る。
……まだ、生きたかった。
……みんなと、生きたい。
散々命を奪っておきながら、そう思う俺は、傲慢、なんだろうな……
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