歌舞伎町の空気がそのまま紙面から漂ってくるような作品でした。派手な世界の裏側にある、男同士の妙な居心地の良さが丁寧に描かれていて、ラーメン屋でのくだらない掛け合いが何より印象的です。
デュポンのライターの音が、二人の関係の象徴として効いていて、最後にもう一度それが鳴る場面の切なさは強く残ります。事件そのものは大きく語られず、噂話として淡く処理されているところに、街の摩耗した距離感がよく出ていると思いました。
短編ながら、読後にしばらく頭から離れない作品です。「夢幻シリーズ」の続きも気になります。