元兵士のセイファが、人嫌いの魔女の家で「家政夫」として働くことから始まるアットホーム・ファンタジーなんですが、これがまたいい!
ほっこりするし、笑えるし、最高に魅力的な作品です。
最大の魅力は、セイファが放つ無骨さと家庭的スキルのギャップにあります。
捕虜交換で村に戻った彼。
人材派遣会社からの依頼で、家政婦となります。
依頼先の魔女の家。
彼女ために丁寧に料理を作り、部屋を整えていく。そのプロセス一つひとつが丁寧に描かれた作品で、最初は心を閉ざしていた魔女が、彼の作る温かいご飯を通して次第に素直な一面を見せていく変化には、思わず口元が緩んでしまいます。
過去の記憶という「陰」があるからこそ、魔女の家で流れる穏やかな日常という「陽」の温かさがより一層際立ちます。美味しい食事と少しずつ距離を縮めていく二人の関係性に、読み進める手が止まりません。
疲れた心にじんわりと染み渡る、至高のスパイスが効いた日常系ファンタジーです。ほっこりしたい夜の読書に、おすすめの作品です。
捕虜交換でようやく戦地から故郷へと帰ってきた青年・セイファ。
けれど、故郷の人々は、捕虜だった彼に冷たく、婚約者にも拒絶され……。
行き場を失くした彼が働く場所として紹介されたのは、変わり者の魔女の家の家政夫。
訪れてみると、出迎えてくれたのは黒衣にカラス頭をかぶった怪しげな魔女で……。
けれど、この魔女さんの言動がとても痛快なのです!(≧▽≦)
自分の思うように行動し、意見を口にし、我が道を行く……。
ふつうの人ならひるんでしまいそうなところを、魔女さんは突き進みます!( ゚Д゚)ノ
変わり者の魔女さんと住み込みの家政夫さん。
二人が紡ぐ愉快な日々と癒しの物語をお楽しみください(*´ω`*)
捕虜になり拷問を受けて帰還したセイファ。
心にも体にも傷を負いながら婚約者に会いに行くも、そこで待っていたのはねぎらいではなく拒絶。しかも新しい婚約者まで作っていた。さらに彼には家族と呼べる存在がなく、村の住人達からも、戦地での噂のせいで裏切り者のレッテルを貼られており疎外される。
そんな中、生活するためにたどり着いた場所は魔女の家政夫というお仕事だった。
しかし迎えて入れてくれた魔女は……カラス?
もちろん本物のカラスではなくてカラスの被り物ではあるのだけれど、ほぼカラスですね。このヒロイン、嘴がパカパカしてるし、バサバサと羽ばたくように腕を振り回す。でも有能な魔女さんなので、政府からの依頼を受けての仕事だってしています。
さらにはイケてる貴族の魔術師さんがご友人?ん、恋人??
王女さまとも知り合い!?
変わり者の魔女の家で住み込みで働くセイファ。
優しく豪快な魔女さんとの交流の中、傷ついた心も体も癒えていきます。
しかし、この魔女さんにも、実はいろんな家庭の事情があって……。
戦争の暗い影が差すお話ですが、カラス魔女さんのコミカルな描写ややり取り、スカッとする成敗展開もあり、読後感はとっても良かったです。
とにかく魔女さんが素敵です。
武州青嵐さまの作品は魅力たっぷりのキャラクターの宝庫なのですが、今回のハイル(魔女)さんは格別。
> 頭からすっぽりかぶった黒の長衣。
> 顔には長いくちばしをつけたカラスの仮面。
その仮面には濃緑のガラスの目が入り、まさに、カラス。小柄で、仮面のせいでくぐもった声でしゃべり、くちばしをぱかぱかやり、ときにこてん、と首をかしげる。鳥、やりますよ、小首をかしげるの! もう、鳥好きにはたまりません。
捕虜交換で故郷に戻ってきた途端に村八分、恋人からは絶縁を言い渡され、行先を失ったセイファさんを「家政夫」として受け入れてくれたのは、カラスのような魔女さんハイルでした。初めて入った魔女さんの家の描写がまた美しいのです。
> ふわり、と。
> 鼻先をかすめたのは清涼な香り。
> 瞬間的に脳裏に浮かんだのは池のほとり。ああ、これはミントだ。
> そこから連想したのは、風にあわせ、ゆらゆらと揺れて淡く光る水面。
> そんな水面に似た光に包まれた室内がいま、俺の目の前にある。
疲労と不安と悲しみの真っただ中で、こんな光景を目にしたら、安堵のあまり泣きたくなりそうです。
魔女さんは魔法陣の読み手としてたぐいまれな才能を持っているのですが、彼女も魔女としてひとりで生きているのには理由があります。でも、そんなことを感じさせないくらい、個性的でぐいぐい人を惹きつける魅力のあるハイル、彼女のくだけて、ちょっと癖のあるセリフがとても印象的です。
「って言ってもさぁ。女性が来ると思ってたし。最低限こっちも隠したいものがあるんだよね。男性だってそうじゃない?」
「飲んだとて! 飲んだとて! 飲んだとて!」
「なんだそれ! それ、解決だと思っているんならびっくりだよ!」
極め付きはこれですね。
「あと、兄上。私はセイファさんと結婚することにしたから」
最強です。「あと、」ですよ、「あと、」。
重くシリアスな展開とコミカルな描写が絶妙にかみ合う、読み応えのあるお話です。
徴兵され戦地におもむき、帰ってきた男セイファ。
しかし彼は戦地で一度捕虜になっていて、帰ってきた彼を待っていたのは歓迎ではなく、冷たい視線と不遇な扱い、恋人からの婚約破棄でした。
行き場を失った彼が新しく就いたのは、全身黒づくめのカラスのような
、魔女さんの家政夫。
周りがセイファのことを冷遇する中、彼を一人の人間として尊重する魔女さん。
この相手を尊重するって、当たり前のようで難しいのですよね。
魔女さんの家に住み込みながら、料理を作ったり買い物をしたり。家政夫として暮らしながら、セイファの心の傷が癒えていく様子が丁寧に描かれています。
しかし魔女さんも、順風満帆な人生を送ってきたわけではありません。
学校では優秀な成績をおさめ、魔女として働いている彼女ですけど、実はいい家のご令嬢。
女性の仕事は、結婚して子供を生むことという偏った価値観を押し付けられ、窮屈な思いをしていたのです。
この辺の理不尽や苦しみを描くのが、相変わらず上手。
誰かに邪魔されることなく自由に生きたいのに、許されないもどかしさ。
世界は理不尽だけど、懸命なセイファと魔女さんの生き方が胸に響くお話です。
戦争が終わり、故郷に帰ってきたセイファ。
戦地で味わった辛い思いが未だ癒えていない彼でしたが、人々は彼を暖かく出迎えてはくれませんでした。
周りの人は冷たく、婚約者に至っては、他の男に乗り換えている始末。
それだけでも相当苦しい状況ですが、さらに現実的な問題として金がない。
そんな彼が新たに見つけた働き先は、とある魔女の家での住み込みの家政婦。
なのですが、その魔女というのがなんとも風変わり。黒のローブを身にまとい、顔には長いくちばしをつけたカラスの仮面という、見るからに不審人物。言っておきますが、この世界の魔女はこれが普通なんてことはありません。ここでも十分異常です!
こんな格好をしているなんて、いったいどんな狂人なのだろうと身構えながら読みましたが、意外にもけっこうまとも。しかしそれなら、どうしてこんな格好で風変わりな生活をしているのか、ますます謎になっていくのですよね。
もちろん、ただの家政婦が踏み込んだ事情を聞くわけにはいきませんが、一緒に暮らすとなると、少しずつ見えてくる魔女さんの事情。どうやら、彼女も色んなものを抱えていて、伊達や酔狂でやっているわけではないようなのですよね。
さらに、魔女さんもまたセイファの事情を知っていき、彼の置かれた理不尽な立場に、大いに思うところあり。
静かに始まった、事情を抱えた二人の共同生活。
家政婦と雇い主という立場ではありますが、お互いの事情を知り、ほんの少し踏み込めば、その関係も変わっていくかも。