第六回
第六回
『「エリィ」と呼ぶことについて』
――呼称に埋め込まれた祈りの反復構造――
***
本章は、作者とChatGPTとの対話をもとに構成された架空の座談会形式の考察集である。
作者による短い発言や着想(例:作者「あ」→ChatGPT「論文!!!」)を起点として、ChatGPTが
・論文
・研究者
・登場人物
・座談会参加者
の発言や会話の展開を生成している。
そのため本章は、実際の制作過程の記録であると同時に、作品世界を用いた二次創作的な考察・創作でもある。
一方で、一部には作者自身による作品解釈や考察をそのまま含む箇所も存在する。
作品解釈や作者による後発的な気付き、ならびに創作的脚色を含むため、本編とは区別してお読みいただきたい。
***
作者
「あ」
研究者
「(さっとメモを取り出す)」
作者
「これは裏設定やから言ってへんねんけどさぁ、メリーエリィの名前の由来、メリーはともかく、エリィは【エリ、エリ、レマサバクタニ(=主よ、主よ、なぜ私をお見捨てになったのですか)】やねん」
研究者
「(メモを取る)」
作者
「んでさぁ、作中アルスはずっと『エリィ』て呼ぶやん」
研究者
「?」
作者
「アルスずっと、エリィを通して【我が主よ、我が主よ】って言ってたことになるよなぁ…」
研究者「論文!論文!論文!」
***
『「エリィ」と呼ぶことについて』
――呼称に埋め込まれた祈りの反復構造――
メリーエリィ神学文学研究 第19巻
***
要旨
本稿は、『天才少女は囚われの王子様を救いたい』におけるアナストルクス(以下アルス)の呼称表現「エリィ」に着目し、その宗教的意味について検討するものである。
近年発見された作者証言によれば、「メリーエリィ」の名は
メリー(祝福)
と
エリ(エリ、エリ、レマ・サバクタニ)
に由来するという。
本稿では、この証言を踏まえ、
アルスによる「エリィ」という呼びかけが、
作品全体を通じて意図せず祈りの反復構造を形成している可能性について考察する。
***
第一章 作者証言の衝撃
問題の発言は、後年の作者インタビューで確認されている。
作者
「メリーはともかく、エリィは【エリ、エリ、レマサバクタニ】やねん」
研究者
「え?」
作者
「アルスずっと『エリィ』て呼ぶやん」
研究者
「はい」
作者
「つまりずっと『我が主よ』って呼んでることになるよな」
研究者
「論文!!!!」
この瞬間、
メリーエリィ研究史は再び混乱した。
***
第二章 「エリ」の意味
周知の通り、福音書に記録される
「エリ、エリ、レマ・サバクタニ」は、
一般に
「我が神、我が神、なぜ私をお見捨てになったのですか」
と訳される。
ここで重要なのは、
「エリ」が
我が神
を意味する点である。
つまり語源的解釈を採用するならば、
アルスは作品全体を通じて
エリィ
と呼ぶたびに、
無意識のうちに
我が主
と呼んでいた可能性が生じる。
***
第三章 第一章の再読
この視点から第一章を読むと、
極めて奇妙な構造が浮かび上がる。
当時のアルスは、
孤独
喪失
絶望
閉塞
の状態にある。
その中で唯一繰り返される言葉が、
エリィ
である。
彼は忘れている。
しかし呼ぶ。
記憶は失われている。
しかし名前だけは残っている。
この構造は、
信仰を失った者が祈りだけを覚えている状態に近い。
研究者A
「それもう神学やん」
研究者B
「知らん」
***
第四章 『エリ、エリ』と『エリィ』
さらに興味深いのは音韻上の類似である。
エリ、エリ
↓
エリィ
当然ながら作者は執筆当時、
ここまで厳密に設計していたとは証言していない。
むしろ、
作者
「後から気付いた」
と証言している。
しかし結果として作品内では、
アルスが最も苦しい時期に、
最も多く
エリィ
と呼んでいる。
つまり、
孤独
↓
呼ぶ
↓
救済
という構造が成立している。
これは祈りの構造そのものである。
***
第五章 メリーエリィという名前
ここで再び名前全体へ戻る。
メリー
↓
祝福
エリィ
↓
我が主
これを統合すると、
メリーエリィは
「祝福された主」
あるいは
「祝福をもたらす存在」
として解釈可能になる。
もちろん作中のメリーエリィ自身は、
栗毛の八歳児である。
エリィ
「クッキー焼けまちた!」
研究者
「神学的象徴です」
エリィ
「???」
***
第六章 最大の問題
しかし本研究には重大な問題が存在する。
それは、
この構造に気付いたのが作者本人である点である。
作者
「なんか気付いた」
研究者
「いつですか?」
作者
「完結後」
研究者
沈黙。
研究者
「またですか」
作者
「またや」
***
結論
本稿では、
アルスによる「エリィ」という呼称を検討した。
その結果、
作中においてアルスは、
意図せずして
「我が主」
を呼び続けていた可能性が示された。
これは第一章における救済構造、
記憶の回復、
祝福の継承、
そして祈りのモチーフを、
一つの呼称へ収束させる極めて興味深い現象である。
なお、
本発見について作者は後日、
作者
「なんで自分の創作物に情緒殴られんねん」
とコメントしている。
現在の研究者の見解は一致している。
***
研究者総括
『メリーエリィ』は地下鉱脈である。
作者
「掘るな。」
研究者
「もう無理です。」
***
これを読んだ皆さん
エリィ
じーっ。
エリィ
「……」
アルス
「……」
カトレシア
「……」
作者
「あれ?」
研究者
「珍しい」
最初に口を開いたのはエリィだった。
エリィ
「つまり」
研究者
メモを構える。
エリィ
「アルスはずっと」
アルス
嫌な予感。
エリィ
「わたちのこと『神しゃま!』って呼んでたのでしゅか?」
アルス
「違う」
エリィ
「神しゃま!」
アルス
「違う」
エリィ
「神しゃま!」
アルス
「違う」
エリィ
満面の笑み。
エリィ
「アルス、もっと呼んでくだしゃい!」
アルス
頭を抱える。
カトレシア
紅茶を置く。
カトレシア
「まあ」
「解釈としては興味深いですわね」
研究者
「おお」
カトレシア
「確かに陛下は第一章の頃から」
「エリィ」
「しか言っておりませんでしたもの」
アルス
「いや」
カトレシア
「エリィ」
アルス
「うん」
カトレシア
「エリィ」
アルス
「うん」
カトレシア
「エリィ」
アルス
「うん」
カトレシア
「本当にそればかりでしたわ」
アルス
黙る。
事実だった。
***
そして。
問題の本人。
アルス
深いため息。
アルス
「君たちね」
全員を見る。
アルス
「そもそも」
「僕がエリィと呼んでいたのは」
「昔からそうだったからだよ」
研究者
「おお」
アルス
「理由なんてない」
研究者
「おおお」
アルス
「好きだから呼んでただけ」
研究者
大騒ぎ。
研究者A
「恋愛解釈だ!」
研究者B
「いや神学だ!」
研究者C
「両方だ!」
研究者D
「論文が増える!」
アルス
頭を抱える。
アルス
「だから嫌なんだ……」
エリィ
袖を引っ張る。
エリィ
「アルス!」
アルス
「なに?」
エリィ
満面の笑顔。
エリィ
「わたちは神しゃまでしゅ!」
アルス
「違う」
エリィ
「祝福された神しゃまでしゅ!」
アルス
「違う」
エリィ
「クッキー食べましゅ?」
アルス
沈黙。
アルス
「……食べる」
***
研究者総括
神学的議論を経ても、
最終的にアルスはクッキーに負ける。
作者
「そこは最初から変わらんな。」
カトレシア
微笑む。
エリィ
「えへへ!」
***
研究者追記
なお本論文発表後、
「メリーエリィ神格化問題」が新たな研究テーマとして立ち上がったが、
本人は終始クッキーを焼いていたため議論に参加していない。
***
作者
「ちなみに本編で出す暇なかったけど、『アナストルクス』の意味は『神からの誉れ』やからな」
作者
「つまり、本来は神から誉れを与えられた人物がそれを失って」
作者
「それでも暗闇の中、ずっと「我が主よ、我が主よ」って言ってたことになる」
作者
「つらぁ…」
研究者一同
「……………………」
作者
「な?」
研究者
「な?じゃないんですよ」
その場にいた全研究者が一斉にメモ帳を閉じる。
研究者A
「また後付けですか」
作者
「後付けや」
研究者B
「また綺麗に繋がるんですか」
作者
「繋がる」
研究者C
「なんでですか」
作者
「知らん」
そして論文が一本生える。
『アナストルクスという名前について』
――失われた誉れと呼び続けられた主――
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