灰被りの魔女」』
ゴォン――。
十二時の鐘が鳴る。
世界が震える。
空が真っ黒に染まった。
金色の光は、もう届かない。
アリスが振り返ると、遠くに見えたのは――
Cinderella シンデレラ。
銀色のドレスの下に、黒い鬼晶の靴。
片手には巨大な鎌。
瞳が赤く光る。
「遅刻したのね」
その声は氷のように冷たい。
教室、森、海――すべての戦場を超えてきたアリスの心が、初めて震えた。
赤ずきん――Little Red Riding Hood が狼の姿で周囲を警戒する。
白兎――White Rabbit が時計を握り、時間停止の準備をする。
人魚姫――The Little Mermaid は海を揺らし、背後に巨大な泡を作る。
「全員まとめて来るつもり?」
シンデレラが笑う。
その笑顔はまるで王族のようで、しかし恐怖に満ちていた。
「あなたは――」
アリスが叫ぶ。
「どうして――こんな力を?」
シンデレラの瞳が揺れる。
「私は……ずっと待っていたの。
魔法の靴を履いた時から、運命は私を試した。
すべての物語を正しい形にするために――
間違えたら、世界を壊すのもやむを得ない」
赤ずきんの狼が唸る。
「人の心を勝手に決めるな!」
白兎が時計を投げる。
「止まれ――!!」
だがシンデレラは微笑むだけ。
振りかざした鎌が光を裂き、時間停止を突き破る。
「十二時よ――皆、覚悟して」
空に浮かぶ時計の針が一気に振り切れる。
巨大な影が舞い降りた。
黒い羽根の群れがアリスたちを包む。
アリスは剣を構える。
《夢迷終式・Wonder Alice》。
金の鬼紋が腕から光の翼へ広がる。
「逃げない――立ち向かう!!」
赤ずきんの狼、人魚姫、白兎、鏡のアリス――
全員が力を合わせ、シンデレラに立ち向かう。
巨大な鎌が振るわれる。
光と闇がぶつかる衝撃で、海が裂け、森が粉砕される。
煙と魔力が渦巻き、空中に無数の破片と文字が飛ぶ。
シンデレラの声が響く。
「覚えておきなさい――
私の物語は、まだ終わらない――」
その瞬間、光が炸裂する。
アリスの鍵剣が鎌とぶつかり、金と黒の光が激突する。
そして――
衝撃の中、アリスの背後に微かな光。
赤ずきんの目が光る。
人魚姫の尾が海を割る。
白兎が時計を止める。
一瞬の静寂。
すべてが止まった。
アリスは深く息を吸う。
「みんな――行くよ」
光が再び爆発する。
黒い靴の鎌が弾かれる。
シンデレラの体が宙に浮く。
しかし。
空のさらに上。
新たなページがめくられる音が聞こえる。
「……次は誰?」
眠り姫の本が光を放つ。
赤ずきんが狼を飛ばす。
白兎が時計を握る。
アリスは鍵剣を握り直す。
「……まだ、終わらせない!」
そして、海の向こうから聞こえた――
新しい歌声。
小さく、でも確かに心に響く声。
青い髪。銀の鱗。
人魚姫の妹――Little Mermaid Sister が現れた。
「……姉さんを止めるのは、私たちよ」
波が弾け、海が光る。
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