根津の深夜喫茶に集まる、少し駄目で、少し愛おしい若者たちの青春群像劇。
冒頭の「人生において最も信用していないものは三つある」から一気に引き込まれました。八坂市太郎の自意識過剰で面倒くさい語りがとにかく楽しく、尾崎、灰田、茉莉、ドン、玲子さんと、出てくる人物全員がどこか壊れていて、それでいて妙に人間くさいです。
深夜喫茶『トントス』の空気感も抜群で、ジャズ、ナポリタン、煙草、根津や谷中の湿った夜の匂いまで伝わってくるようでした。
馬鹿騒ぎの中に、二十歳前後の不安や焦燥、いつか終わってしまう時間への切なさが混じっていて、笑いながら少し胸が痛くなります。
玲子さんという嵐のような年上女性の登場によって、ただの青春コメディではなく、「過ぎ去った青春」と「これから始まる青春」が重なっていく感じもとても好きでした。
駄目な若者たちの、忘れられない夏。
続きが楽しみです。