婚約破棄をしたら一日で滅びた国の話

山田 勝

異世界から聖女を召喚して国を富ますことは良くあることだ。

しかし、この女、折角召喚してやったのに少しも役に立たない。

言葉も話せないようだ。



「聖女マドカ、魔の森から帰還しました・・・」

「戦果は?」

「ゼロです」

「やはりな」



折角、名誉の戦死にしてやろうと思って魔王軍が出没する魔の森に三日間だけ放してやったのに・・・死ぬことも出来ない無能か・・・



なら、処刑だ。

もともと、女神様からの送り物でもある異世界から来られた聖女だ。

ただ殺すのははばかれた。



「マドカ・スズキを処刑し、新しい聖女イシュタルを我が婚約者に据える。これは決定事項だ」


「「「御意!」」」




我は即位をする。

何故なら3ヶ月前に魔王軍の大軍に勝利したからだ。

あの骸骨の軍師は我先に逃げだし。オーガは武具を投げ捨て逃げだした。


我の功績である。我が軍の偉容に恐れをなして魔王軍は逃げだした。

マドカ・スズキは怯えるだけで何も出来なかった。

全く臆病である。聖女のくせに魔族を怖がる。縛って無理矢理連れて行ったわ。



そんな我を見て砂漠の国の名高い聖女イシュタルが我に嫁ぐと了承してくれた。

もう、マドカは用済みである。



「フェルナンド殿下、イシュタル様、全て準備が整っております。王城前広間においでください」


「うむ」



今日は我の結婚式、その前にマドカ・スズキを断罪し婚約破棄をして王族の婚約者としての地位を剥奪する。

そして即処刑だ。


婚約破棄はこの世界で庇護者がいなくなる。すぐに処刑してやるのは温情である。



「フェルナンド殿下、聖女イシュタルのご臨席でございます」



観覧席の王族、貴族は席を立つ。広場に集まった民衆は帽子を取る。

この場で礼をしていないのはマドカ・スズキだけだ。


まあ、野蛮人だから仕方ない。


「これより、マドカ・スズキを断罪する。聖女でありながら全く役に立たず国費を浪費した罪は大きい・・・」



「そうだ!父ちゃんは魔王軍との戦いで戦死したよ」

「少しも地力が回復しいって皆嘆いているよ」

「そうだ。全てこの女が悪い」


民の罵声もあるが、マドカは処刑人に抑えられて目は地に伏している。

しかし、我は慈悲深い王を目指している。


弁明をさせてはやる。


「マドカ・スズキ、何か弁明はあるか?」



「・・・・・・・・」



やはり唖か。この後に及んでも何も言えないとは話せないのか?

全く本当に聖女なのか怪しい。



「皆の者、弁明無しとの事だ。我はこの女との婚約を【ハ~クション!】する!」


?何だ。言葉に被さるように誰かクシャミをした。



「王太后様の親戚の方です」

「おお、そうか、ここは寒い。奥に下がらせてしんぜよ」


ご老体か。まあ、仕方ない。




しかし、これが亡国の始りだとは思いもしなかった。

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