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ほんのり赤みがかった、少し跳ねっ気のある長髪をおさげにして胸の前に垂らしている。パッツンの前髪は長く、少し目元が隠れており、その髪の下には老眼鏡くらい"度"の強い丸眼鏡と
黒地に緑のラインが走ったセーラー服の上から肌寒いのか、紺色のセーターを被っており、1番上までピッタリボタンを止めている。スカート丈は膝下までで、黒く長い無地の靴下をぴっちり履いていることで、肌の露出している範囲は殆どない。まるで、衣服を鎧の様に着ている。
名前を「小泉 牡丹」という。
悲しいかな、それが私である。
元来の性分というか、持って生まれた性というか、兎に角人付き合いが苦手な
要らぬ心配だと言うのは分かってはいるのだが、どうしても心根の方でそういう
そんなことを考えながら、私は今日も1人、本を読み続ける。とはいえ、心温まるラブロマンスでも、心が
一説には、ホラーを好む人間は己よりも不幸で理不尽な目にあってるものを見て安心感を得るから好きなのだという話もある。自分より下にいる人を見つけては自分はまだマシだと安心したいのだとか。なんとも不躾な結論であるが、私自身、
それに、本気で怪異がいると思って読んでいるわけでも無い。結局のところ、その論調を真っ当に受け入れてしまえば、下賎で下衆な輩だと自分を定義してしまうようで、そういう下卑た奴だと他人に後ろ指を差されて
心の方はその論調に
しかし、ひとつ反証を挙げるとするならば、私が怪談を好きなのは心がゾワッとするからだ。どこか足元が揺らぐような恐ろしさがあるからだ。例えば怖い話を見ている時にソファと床の隙間から足を上げたくなるだとか、布団にくるまる時に手足を中にしまっておきたいとか、そういう胸中に不穏が
その点で言えば、他人の不幸を己の幸福に置換していると言うよりは、己の幸福や安全を不安定にしてそれを楽しんでいるのではないかと思う。
言っていてなんだかマゾヒスティックに感じられるが、他人の不幸を喜んでいると謗られるよりかは
そして、私はまた、そうした心を不安定にさせるような恐ろしさを作り出す人間の創作力、想像力というものにも大いに好感がある。特に文章にはジャンプスケアと呼ばれるただ大きな音を出しているだけの、それこそ下卑た(ホラーをナメたと言い換えてもいい。怖い怖いと褒めそやされるホラー映画がただのジャンプスケア作品だった時など憤慨ものだ。)安直な手法に頼らない小説というものにこそ、大きく現れているように感じる。
言ってしまえば文字は文字だ。
しかし、それでも人はそこに様々な感情を見る。それこそが人間が理智を得た最大の恩恵ではないかと思う。
時間も場所も遠く離れた私の心を毛むくじゃらな猿のような手ですっと撫でて行くのだから。
キーンコーンカーンコーン。
無機質な学校のチャイムが休み時間の終わりを告げる。
なんだか妙に静かな気がした。
嫌な予感がする。
ふっと顔を上げる。
カーテンがバタバタと茜色に染め上げられながら翻った。
四十人程の人を日々押し込める教室は今やがらんどうで、喧騒から離れた静寂の中、取り残されているのは私一人だけだった。
咄嗟に席を立ち、前方黒板横の時間割を確認する。
「五限目:音楽」
移動教室のことをすっかり忘れていた。
私は教科書とリコーダーを
こういう時、焦りとは裏腹に頭は逆に冷静になって周囲のものが見える。
とは言っても視界に飛び込むのはどうでもいいものばかり。現実逃避の先を見つけているかのようだ。
教室とは反対の窓側、通路の壁にはポスターが貼られている。
美化委員だとか保健委員が委員会活動で作ったようなポスターだ。
「廊下は走らない」
火急の場合はまた別だ。
「手洗いうがいは忘れずに」
言われずとも。
「!志有エ集!ル迫挙選会徒生」
出た。
「怪談屋。連絡はこちらまで。070-2■■■-7■■■。」
怪談屋?これも悪巫山戯か……見間違い?
たしかにポスターがある。
怪談屋。ご丁寧に電話番号……それもおそらく個人の携帯のものと思われるものが併記されている。
部活……という訳でも無いだろう。そもそも学校公認のポスターに電話番号など載せる許可はおりるまい。
きっとあれだ、トイレにいかがわしい文章と共に電話番号が書かれているような悪質な悪戯か……
後者の場合、せっせと学校に侵入して
何れにせよ気持ちのいいものではない。私は先生に渡そうとポスターを剥がして音楽室へと再度歩……否、"走"を進めた。
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