第4話 え? 最強過ぎない?
黒いカバ? 象? を倒した後、とりあえず森の中を進んでいた。
いや、常人にはそう見えないかもしれない。
なぜなら軽く歩くつもりなのにとんでもない速度で森を駆け抜けていたからだ。
これは力の制御が大変かも知れないな…
そんな事を考えながら
何やら声が聞こえてくる。
「隼人君〜〜?」
「隼人ーー!」
「神楽坂さんーー?」
え? 俺の事呼んでる?
気になり、声のする方へと足を運んでみると、そこにはクラスメイト+先生がいた。
第一に俺に気づいたのは、運が良いのか悪いのか嵐だった。
「お、キモオタいんじゃんー。なんだよくたばっちまったかと思ったのによー」
「まあ、生きててもどうせすぐ死ぬだろ!」
「確かに言えてるわ!」
嵐に続き、直介、俊也と揃って俺を馬鹿にする。
今に見てろよ? そうしていられんのも今のうちなんだからな?
そんな光景を見ても、誰も口を出してこない。
傍観者っていうのも本当にクソだな。
「さて、神楽坂さんも来たことですし状況把握を始めます」
と、宇沢先生もこの光景を無視して話を進める。
教師もクソならどうすりゃいいってんだい。
「まず現状、ここではスマホが圏外となっており通話が繋がりません。GPSも…恐らく機能していないでしょう」
「それと、皆さんは『女神セルフィナ』という者と会話はしましたか?」
「しました!」
「私も〜」
「僕もしたなぁ」
「結構可愛く無かった?」
「それな!」
最後の方は余計なのが混じっているが、とりあえず全員があいつと会っているらしい。
という事はやはりある程度の説明は受けているらしい。
「なるほど…ではある程度この世界の事は理解しているのですね。彼女が言うにはこの世界はトール。地球とは全く別の次元らしいです。まだ信用はしてませんけど」
確かに急にあいつの言葉なんて信じられるわけがないよな。普通だったらなんかのドッキリか、犯罪の類いだと考える。
「ですが、それがもし…もしも本当の事だとしたら大変です…」
「なんでっすかー?」
「別にこの世界じゃ私達は他の奴らとは違って強いんでしょ? じゃー普通に最高じゃね?!」
「それな! ちょっとワクワクもしてるし!」
クラスメイトの奴らは浮かれているが、先生は顔面蒼白だ。
何故なら──
「では…誰か帰る手段が分かる者はいますか…?」
と、声を震わせて告げる。
次の瞬間全員が押し黙った。帰る手段を知らないとなるともう自分の身近の人間と会えなくなる。という事だ。
まあ俺にはそんな人いないけどな。
「い、いや、お母さん…」
「は…? あっちには妹だって…」
「父ちゃん…母ちゃん…」
「ふざけんなよ! 向こうには俺の彼女だって…あ、いないか」
本当に最後はともかく、阿鼻叫喚が森に木霊する。
てかこいつらそんな事も考えてなかったのかよ。
「皆落ち着いて!!」
そう叫んだのは宮崎茜だった。
学級委員の彼女にはクラスメイトを纏める力がある。彼女が叫んだ途端、クラスメイト達の声は段々と落ち着いて行った。
「女神様が言ってたでしょ? 魔王を倒せば
皆がハッとした。
そして、またざわつき始める。だが今度は阿鼻叫喚等ではなく、話し合いの声が広がる。
『皆がハッとした』
ただ一人、俺を除いて。
(は? そんな事一言もあいつは言わなかったぞ?! 何しても自由って言ってたよな?!)
混乱した。皆が聞いている事と俺が聞いていることが違ったからだ。
女神が何を企んでいるのか…俺には分からなかった。
そうして隼人は思考の海に沈んで行ったのだった。
◇◆◇
皆の話し合いが終わった後、先生が話し始める。
「すみません皆さん、確かに彼女はそう言っていましたが、失念していました」
いや、帰る手段くらいちゃんと覚えてろよ! と言わんばかりの目線が先生に集まる。
「ですが…私は魔王を倒すなど到底認められません」
まあそりゃそうだろうな。と隼人は思う。
「なんでですか?!」
「せっかく帰る手段があるのに!!」
「魔王は俺様の美貌でちょちょいのちょいですって」
…ちなみに毎回毎回最後にウザイのは
まあ日常茶飯事ってやつだ。
閑話休題
とりあえず一旦近くの集落や街を探そうという話となり、俺達は森の中を歩いていた。
ちなみに俺は速く歩かないように、めちゃくちゃゆっくりと歩いている。
本当に調整がムズい…
ある程度歩いていくと、建物が見えてくる。
高さは…大体20mくらい?
俺達はそこを目指して進み始めた。
進んでいくと、某巨人アニメの様な巨大な城壁? の様な物があった。
あのめちゃくちゃデカイ建物もこの内側にあるようだ。
とりあえず外壁に沿って進んでいくと、入口と思わしき所が見えてくる。
そこには門番だと思われる人が二人佇んでいた。
二人は槍を所持しており、鎧も装着していた。
「とりあえず、私が話し合ってみます」
と言い残し、先生は彼等の元へと向かった。
いやいや、こういう展開はやばいよ? 壁の外の者は殺すぞーみたいなのありえるよ?
しかし、そんな考えは杞憂に終わったらしい。
先生が戻ってきて告げた言葉は
「『貴方達が聞いていた異界の来訪者様ですか! 歓迎します! どうぞお入りください!』…だそうだ…」
先生も流石に怪しんでいるようだ。普通になんかされそうで怖い。クラスメイト達はその不安を伝播させていく。
「先生! とりあえず入ってみませんか? このまま野宿はしたくありませんし…」
茜の意見に先生は賛同し、クラスメイト一同は城壁の中へと進んで行った。
中には沢山の店、住宅街が広がっており、中心地には先程見えた20m程の建物──大聖教会と、それを囲む城が存在する。
その教会と、城はこの国【神聖国家セーラ】の国王、王妃、教皇帝がおられるのだという。
ちなみに、俺達が最初にいた場所は【エデンの園】というエルフ達が暮らしている場所だったらしい。
そして今、俺達はこの国の騎士団に「城へお招きいたします。来訪者様」と言われ、城へと入っていくのだった。
◇◆◇
「よくぞ来た。異界からの来訪者達よ」
この国の王──ゴルン・スミスが豪奢な椅子から歓迎する。
年齢は…50代くらいだろうか? その佇まいからは王としての威厳を強く感じさせられる。
その横には王妃──マリア・スミスが座っていた。
もちろんそれに応えるのは先生だ。
俺達が変な真似して不敬罪で投獄とかされたら終わりだからね。
「歓迎感謝いたします。王よ。大変不敬なのですが、質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「よかろう」
「感謝します。それではまず、私達をここへ招いてくださった理由をお聞きしたいです」
いや、まて。先生めちゃくちゃ声震えてるんだが?
まあ、でもそりゃそうか。先生だって同じ人間だしな。下手したら即刻死刑も有り得るから怖いんだろうね。
「うむ。とりあえず言っておくが、余が貴様らを呼んだ訳では無いのだ。会ってみたいと言ったのは余だが、貴様らの事を最初に知ったのは教皇帝であり、呼んだのも奴だ」
「教皇帝…」
「ああ、もうすぐ来るはずなのだが…」
その言葉を言い終える前に俺達の後方の大扉が開く。
そこには王よりも豪華な祭服と司教冠を被った男が立っていた。
「王よ。失敬した。遅れて申し訳ないと思っている」
「いや、構わぬよ」
二人仲が良さそうに会話を始める。俺達を無視して。
「それで、貴殿達が来訪者様である…と?」
「は、はい! そうです! わ、私の名はま、マイコ・ウザワと申します!」
「私の名は『ギルミス・セーラ』である。ふぅん…貴殿達がそうであると…いつかこの世界の英雄となろう者達…」
「?」
英雄? なんの話かさっぱりの俺達は揃って首を傾げる。
「にわかには信じ難いですねぇ…そんなに強そうには見えませんが…」
しかし、と言葉を続ける。
「この場で力を証明していただければ、話は別です」
その言葉を告げた瞬間、自分達を囲むように魔法陣が展開される。
その数41、俺達の人数と同じだ。
「な、何をするのですか?!」
「まずはこれを皆さんに配ってください。ああ、心配はいりませんよ。そんな恐ろしいものではありません。ですが、もし受け取らないのであれば…この場で処刑します」
「ッッッ?!」
声を荒らげる先生に対し、余裕そうにギルミスは瞳の様な道具を渡す。
先生は言われるがままに生徒達にそれを配っていった。
「皆さん、『アーティファクト』、『鑑定の目』は行き届きましたか?」
その言葉に全員が頷く。
「では、その瞳を見つめて、『真実を開け、異能の力よ』と唱えてください」
詠唱キタァーーーー!!
皆は困惑してるが、俺だけは違う。
待ちわびていた詠唱! やるしかねぇだろ!!
「真実を開け、異能の力よ」
そう唱えた途端、目の前にホログラム? の様な物が浮かびあがり、ゲームでいう、ステータス画面の様な物が表示された。
『?!』
他の生徒達も同じ様な反応だが…おかしな事に他の生徒の前にこのホログラムの様なものは表示されていない。
だが、生徒達の話し声から察するにこの画面は自分にしか見えないんだろう。
「なんだこれ?!」
「これが『スキル』…?」
「カッコよすぎるだろ!!」
最後は俺と同じ反応をする同士がいたが、一旦置いておいて
とりあえず自分の画面を覗いてみる。
~~~~~~~~~~~
種族:神人、来訪者
名称:神楽坂 隼人
身長:170cm
体重:80kg
種族固有能力
『言語把握』
・全ての言語を話すことができます。
『詠唱短縮』
・詠唱を名称のみにすることができます。
保有スキル
『精神完全耐性』
・精神攻撃を完全に防ぎます。
『熱完全耐性』
・熱攻撃を完全に防ぎます。
『状態異常完全耐性』
・状態異常を完全に防ぎます。
『完全擬態』
・今までに見た人、物に他者から見えるようになります。ただし、心臓を中心に半径1mまでのサイズしか擬態できません。
『空中飛行』
・魔術を使用せずに空中を飛行できます。
『思考伝播』
・離れた場所から他者と会話ができます。
『神体強化』
・神体(神人の肉体)を限界まで強化します。ただし、制限時間は2時間。使用後24時間は使用不可となります。
『鑑定阻害』
・相手の鑑定を妨害します。
『天才』
・見た者の武術を模倣できます。ただし、力の大きさは模倣できません。
『料理の神』
・料理の腕前を別次元の領域へと至らせます。
『気配遮断』
・気配を遮断します。
『並列思考』
・二つ以上の思考を同時に処理することができます。
『魔力可視化』
・魔力を肉眼で見ることができます。自由に調節が可能です。
『自己再生』
・肉体を損傷した瞬間から再生します。
『神の領域』
・1秒を10億倍まで引き伸ばします。ただし、自分が10億倍の速度では動けません。
『膨張異力』
・他者とは別次元に膨大な異力を持ちます。
『異力貯蔵庫』
・入り切らない異力を貯蔵できます。
『膨張魔力』
・他者とは別次元に膨大な魔力を持ちます。
『魔力貯蔵庫』
・入り切らない魔力を貯蔵できます。
・
・
・
「へ? なにこれ?」
そんな素っ頓狂な声を思わず漏らしてしまうほど、驚く結果だった。
なんなんこれ? 勝てるやつ逆にいるの?
そもそも自己再生+フィジカルだけで最強なのに…
『料理の神』とかいうふざけたスキルも存在する。
しかも、スワイプしてもしても下へと辿り着かない。
それは隼人のスキルが本当に大量にあることを示している。
しかもなんだよ『種族固有能力』って。聞いてねぇぞ?
女神の「あ、あれ…? 言ってませんでした…?」という声が少し聞こえるような気がした。
てか身長体重も増えてるし。筋肉量が増えてんのか?
いや、そんな事よりも…
「え? 最強過ぎない?」
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