不死の身体を持つ騎士「ヴァニタス」と、寿命と五感を失っていく少女「ノエル」——
二人の過酷な運命を紡ぐ物語は、丁寧な筆致によって幕を上げていきます。
名門貴族の令嬢にして天才ヴァイオリニストのノエルは、現実を書き換えるほどの絶大な力を持つものの、その代償として自らの身を削っていく。
その切実な設定に強く惹かれ、読みながら何度も胸を打たれました。
やがて謎の襲撃者が劇場を襲い、不穏な組織との戦いが始まっていくのですが、何かを失い続ける少女と、死ねない男という、対比的な二人が織りなすコンビネーションは本作の大きな見どころです。
音楽を介した異能の演出も巧みで、まさに「五感で読む物語」といった強烈な印象を受けました。
禁断の力とされる「深淵解放」や「聖騎士」などの緻密な設定も興味深く、読み進めるたびに物語の深淵へと足を踏み入れていくような心地がします。
17話までを拝読しての感想となりますが、多くの謎を抱えたこの物語の根底には、確かな救済と希望があり、その重厚なテーマ性が知的好奇心を心地よく刺激してくれます。
秀逸な世界観と切ない運命に彩られた、極上のダーク群像劇をぜひお楽しみください。