『「高橋さん浮気ですか?」会社でそう言われた俺の首には娘のスカーフが。一方、学校で彼氏のネクタイだと勘違いされ絶叫する娘。すべての黒幕は――最強の母だった。』
志乃原七海
第1話『あべこべな朝』
〇 高橋家・リビング(朝)
朝の戦場。テレビから流れる占い。
父(40代)が、首元を緩めたワイシャツ姿で慌てて部屋に入ってくる。
父「なあ?母さん? おれのネクタイ知らないか!?」
母(声のみ)「そこ、テレビの横!」
父「はい、!お! サンキュー! よしいってきまーす!」
父、サイドボードから「紺色の布」をひったくり、首に巻きながら飛び出していく。
〇 同・階段~玄関
入れ替わりで、階段をバタバタと駆け下りる娘(高校生)。
娘「ねえ? ママ! わたしのセーラー服のスカーフどこ!?」
母(声のみ)「そこ、テレビの横に置いたでしょ!」
娘「はい! サンキューいってきまーす!」
娘、サイドボードに残っていた「紺色の布」を掴み、カバンに放り込んで玄関を飛び出す。
〇 会社・オフィス
デスクでパソコンに向かっている父。
後輩女子「あれ? 高橋さん? なんかいつもと雰囲気違いますね……って、ネクタイ!」
父「ん? これ?」
後輩女子「違いますよ!(笑)色鮮やかだし、なんか、光沢がシルクじゃなくてポリエステルっぽい……。浮気したらダメですよ?」
父「何をバカなことを。あ、鏡見てなかったな……」
父、席を立って洗面所の鏡の前に立つ。
首元にきゅっと結ばれているのは、紛れもない「セーラー服のスカーフ(三角タイ)」。
父「……これ、娘のスカーフじゃないか!!」
〇 高校・教室
休み時間。
友人「あれ? まゆ? 首元それなあに?……ネクタイじゃないの?」
娘「え?」
自分の胸元を見る娘。
そこには、おじさんライクなストライプ柄のネクタイが、無理やりリボン結びにされている。
友人「やるぅ! 彼氏に借りたんだ? 朝からごちそうさまー、ふふ」
娘「……あーーーーーっ!!」
〇 (フラッシュバック)高橋家・リビング
テレビの横に、きれいに並べて置いてあったネクタイとスカーフ。
〇 会社・洗面所 / 高校・教室(マルチ画面)
天を仰ぐ父と娘。
父・娘「「母さんのやつーーーっ!!(ママのやつーーーっ!!)」」
(おわり)
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