嫁迎え(1)

【相談】祖母の葬式で妙な木箱を渡された【冥婚?】


1 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:18:43 ID:Muk4E0p.0

はじめてスレ立てる。長くなるかもしれん。すまん。


先週、父方の祖母が亡くなった。九十一だった。

葬式は祖母の生まれた村でやった。北のほうの、山あいの、家が十二軒しかない集落。

地名は伏せる。「賽(さい)」のつく地名、とだけ言っておく。


それで、葬式の後、いちばん歳のいった親戚の婆さん(祖母の従妹らしい)に呼ばれて、

古い木箱を渡された。桐の、両手に乗るくらいの箱。

「これはあんたが持つものだ」「あんたで決まりだ」って、何度も言われた。

意味が分からないまま、断れなくて、持って帰ってきた。


今、目の前にある。さっき開けた。

中身がちょっと、いやかなり、おかしいから、聞いてほしい。


2 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:20:05 ID:8r2KpQa.0

>>1

乙。中身は?


3 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:21:30 ID:VnMc.7d.0

桐箱とか普通に位牌とか形見だろ

落ち着け


4 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:25:11 ID:Muk4E0p.0

中身、四つ。


①古い白黒写真。若い女の人が、白無垢着てる。たぶん十代。きれいな人。裏に「サヨ」とだけ鉛筆書き。

②木の板。絵馬っぽい。馬の絵じゃなくて、男女が並んで座ってる絵が描いてある。墨が薄い。男の顔のところだけ、塗りつぶされてる。

③髪の毛。一房。和紙に包んであった。長い。

④折りたたんだ紙。開いたら、俺の名前がフルネームで筆で書いてあった。


…①〜③が古いのは分かる。骨董みたいなもんだろ。

でも④、俺の名前が書いてある紙、これも同じくらい古いんだ。紙が茶色くて、ボロボロで。

俺、まだ二十八なんだけど。


5 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:27:48 ID:8r2KpQa.0

お前の名前が、お前が生まれる前から書いてあるってこと?


6 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:28:33 ID:VnMc.7d.0

いやそれは後から書いたんだろ

古い紙に書いただけ


7 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:31:09 ID:Muk4E0p.0

>>6

それも思った。でも墨が、紙に完全に染み込んでて、にじみが古い。

こないだ書いたって感じじゃない。素人目だけど。


あと、これ書くか迷ったけど、

箱を開けてから、部屋がずっと、おしろいの匂いがする。

化粧品の、古い、粉っぽい匂い。窓開けても消えない。


8 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:33:55 ID:p0Lwn3X.0

うわ

白無垢の女、髪の毛、男の顔を塗りつぶした絵馬、おしろいの匂い

これ完全に冥婚(めいこん)のやつじゃん


9 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:35:02 ID:8r2KpQa.0

めいこんって?


10 :本当にあった怖い名無し ◆nGi9k.QuA:20XX/11/04(火) 21:40:18 ID:nQ7gki.aA

横から失礼する。詳しいというほどでもないが、民俗の話なら少し分かる。


冥婚は「死後婚」とも言う。

若くして、結婚しないまま死んだ者を、あの世で結婚させてやる風習だ。

東北の一部に「ムカサリ絵馬」ってのがあって、死んだ未婚の子のために、

架空の、あるいは実在の相手との婚礼の絵を描いて寺社に奉納する。

そうすると、死者が成仏する、寂しがらない、とされる。


>>4の②の絵馬、男の顔が塗りつぶされてるのが気になる。

普通、ムカサリ絵馬の相手は「実在しない人」を描く。実在の人を描くと、

その人が「あの世に引っ張られる」と言って、強く忌む地域がある。

顔を塗りつぶしてあるのは……相手をまだ「決めていない」か、あるいは「消した」かだ。


>>1。一つ聞く。その絵馬の女のほう、写真の「サヨ」さんに似てるか?


11 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:43:30 ID:Muk4E0p.0

>>10

詳しい人来た。ありがとう。

…似てる。というか、同じ髪型、同じ着物。絵馬の女は、写真のサヨさんだと思う。


つまりこの絵馬は、サヨさんの婚礼の絵で、

相手の男の顔が、塗りつぶされてるってことか。


で、俺のフルネームが書かれた紙が、一緒に入ってる。


12 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:45:11 ID:p0Lwn3X.0

おいおいおい

塗りつぶされた相手の枠に、>>1の名前入れる気だろ親戚


13 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:46:02 ID:VnMc.7d.0

さすがに考えすぎだろ

形見分けで、たまたま名前書いた紙が一緒だっただけかも


14 :本当にあった怖い名無し ◆nGi9k.QuA:20XX/11/04(火) 21:50:40 ID:nQ7gki.aA

>>13

その可能性もある。決めつけはよくない。

ただ、>>1。婆さんが「あんたで決まりだ」と言ったのが引っかかる。


>>1の家系を少し調べてみてくれないか。

そのサヨさんが、いつ、何歳で、どうやって亡くなったか。

あと、>>1の父方の、もっと上、曽祖父や高祖父が、どこの家から来た人か。

「婿に入った」とか「よそから来た」みたいな話がないか。


冥婚の相手に選ばれるのには、たいてい理由がある。

血筋の「借り」みたいなものだ。


15 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:52:18 ID:Muk4E0p.0

>>14

分かった。父に電話して聞いてみる。

父も、あの村のことはあまり話したがらないんだけど。


…今、書きながら、絵馬の塗りつぶした部分を見てたんだけど、

さっきより、黒いところが、少し、薄くなってる気がする。

下に、なにか描いてあるのが、透けて見えそうで。


気のせいだよな。


16 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 21:53:40 ID:8r2KpQa.0

気のせいってことにしとけ

今日はもう箱しまって寝ろ


17 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 23:48:55 ID:Muk4E0p.0

父に電話した。最初ははぐらかされたけど、酒入ってたのもあって、ちょっと話してくれた。


サヨさんは、祖母の姉。つまり俺の大叔母にあたる。

といっても祖母とは二十近く歳の離れた姉で、祖母はサヨさんの顔もろくに覚えていなかったらしい。

昭和のはじめ、十七で死んだ。「淵(ふち)に落ちて」と父は言った。

でも言い方が変で、「落ちたことになってる」って。


それと、もう一つ。

俺の父方の名字、いま「宮田(仮)」っていうんだけど、

これは曽祖父の代に、あの村に「婿に入った」名字じゃなくて、

逆に、曽祖父が、あの村の家から「宮田の家に嫁をもらった」――

いや、ここ、父の説明がぐだぐだで、よく分からなかった。

ただ一つ、はっきり言ったのが、


「宮田の家は、あの村に、昔、不義理をした」


これだけ、妙にはっきり言って、それから黙った。


18 :本当にあった怖い名無し ◆nGi9k.QuA:20XX/11/04(火) 23:51:02 ID:nQ7gki.aA

>>17

……なるほどな。少し、形が見えてきた。

今夜はもう遅い。続きはまた明日にしよう。


一つだけ。今夜、その箱は、玄関から一番遠い部屋に置け。

そして、写真と絵馬を、向かい合わせにするな。重ねるな。それぞれに布をかけて、離して置け。

理由は明日説明する。頼むから、その通りにしてくれ。


19 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/04(火) 23:54:30 ID:Muk4E0p.0

>>18

分かった。今やる。

…布かけた。離した。

おしろいの匂い、さっきより強くなってる。気がする。


寝る。明日も来る。みんなありがとう。


20 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/05(水) 07:02:11 ID:k1pZ9wb.0

保守

>>1生きてるか


21 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/05(水) 08:30:45 ID:MqA3eep.0

(昨日の>>1です。ID変わってる)

生きてる。変な夢を見た。


知らない座敷で、俺が紋付き袴を着せられてる夢。

周りに人がたくさんいて、みんな俺の顔を見てにこにこしてる。

俺の隣に、白無垢の女が座ってるんだけど、顔のところだけ、靄(もや)がかかってて見えない。

誰かが「もうじき顔が見えますよ」って言って、みんな笑った。


目が覚めたら、枕に、長い髪の毛が一本ついてた。

俺、短髪。家族もいない。一人暮らし。


22 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/05(水) 08:33:09 ID:kP9eRa2.0

こわい

普通にこわい

>>1その箱、寺とかに持ってけないの?


23 :本当にあった怖い名無し:20XX/11/05(水) 12:15:33 ID:MqA3eep.0

>>22

近所の寺に電話してみた。事情話したら、

「うちでは、ちょっと……」って、露骨に嫌がられて、別の寺を紹介された。

そっちもまだ繋がらない。


詳しい人(◆nGi9k.QuA)、いる?

昨日言ってた「形が見えてきた」って、教えてほしい。


24 :本当にあった怖い名無し ◆nGi9k.QuA:20XX/11/05(水) 19:40:08 ID:Wd8kR2.bP

>>23

いる。仕事終わった。書く。長い。覚悟して読んでくれ。


これは推測も混じる。でも、たぶん大きくは外してない。


サヨさんは、十七で、婚約していた。相手がいた。

当時の村の家同士で決めた縁談だ。だが、その縁談は、相手の家の都合で、破談になった。

「宮田の家が、村に不義理をした」――これだ。

婚約者の家が「宮田」、あるいは宮田に連なる家で、何らかの理由で縁談を反故にした。


破談になったサヨさんは、淵に身を投げた。「落ちたことになってる」のはそういうことだ。

そして――これは冥婚の伝承でよくある型なんだが――

その後、村に災いが続いた。不作、病、子どもが続けて死ぬ、とかな。

村は「サヨの祟り」と考えた。嫁に行けなかった怨みだ、と。


そこで村は、サヨさんを「嫁に出す」ことにした。冥婚だ。

だが相手がいない。本来の婚約者(宮田)は、もう村にいない。逃げた。

だから村は、宮田の血を引く者の中から、代々一人、「婿」を立てることにした。

不義理をした家の血で、サヨさんの婚礼を、未来永劫、続けさせる。それが「借り」の返し方だ。


>>1。お前は、宮田の血を引いている。

そして今、その「婿」に選ばれた。それが、あの箱の意味だ。

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