社畜転生といえばスローライフや仕事からの解放といったイメージが強いが、この作品は「報われる労働」という労働自体に焦点が当たっている。
替えの効く駒でしかなかった主人公が、異世界ではその働きを「自分にしかできない仕事」として認めてもらう。仕事や労働といった要素に真っ向から立ち向かい、それを見事に救いに変えている作品。
その仕掛けも巧い。無茶振りや割り込みタスクや動かされるゴールといった、労働環境に少々不満を感じたことのある身としては覚えがありすぎる理不尽なことも、主人公の力によって見事に処理されてく。それらに心地よさを感じつつ、異世界転生に落とし込んだ構成力に唸らされる。
そしてなにより主人公とテイマーの主従関係。これが本当に良い。
必要とされなかった者同士がお互いを必要とし、どちらかが寄りかかるのではなく、肩を並べて同じ仕事に向かう。この関係が何よりエモい。
社畜あるあるで軽快な笑いや共感から、スマートに仕事をこなす心地よさ、そしてじわりとくるシーンが緩急つけてやってくる。
仕事に疲れても、仕事が嫌でも、それでもほんの僅かでも「仕事に意味なんてない」とは言い切れずにいる人。
そういう人には胸の奥まで刺さるような作品かと思う。