第1話の主人公描写が、ただのVRMMO導入話ではなかった。
帰宅してネクタイを緩め、スマホの会社通知を「今すぐ開いたら負ける気がした」と伏せる——この一文だけで、この主人公が今どういう状態にあるかが伝わってくる。攻略サイトの「最初の十二時間で方向が決まる」というアドバイスも「分かる。分かるが、今の俺の頭には入ってこない」と素直に受け流してしまう疲れが、共感を呼ぶ。
「三時間で十二時間」という数字だけが残ったという動機が、チートや転生ではなく「時間が欲しかっただけ」という等身大の出発点として機能している。名前も「凝った名前を考えるほど頭は動いていない」からと本名をもじっただけ。この積み重ねが主人公への親しみを生んでいる。
スキル《キャラメイク》がどう機能するのか、続きが純粋に気になる出だしだ。