「記憶を奪うことが愛の証明」という命題を、幕末という舞台と琥珀という小道具で静かに結晶させた作品。純愛譚として読み始めたものが、読み進めるうちに少しずつ輪郭を変えていく構造が巧みで、最終話の「微笑み」の意味が着地した瞬間、背筋が冷えた。
五十年という時間の重さを丁寧に描きながら、「守ること」と「支配すること」の境界線をあえて曖昧にしたまま終わらせている。その余白が怖い。
タイトルの「檻」が誰のための檻だったのか、読後に考えさせられる。
二重アイデンティティと裏切り、仮面の下に隠された真実——自分が書く世界観と響き合うものを感じた。好みの方にはきっと刺さる一作。