あらすじ:
場所は神戸の蔵元と思われる家庭。
少女真美子は、家族とともに穏やかな日常をおくっている。
場所は変わって、暗いトンネルの中。
母親から「5日間トンネルから出てはいけない」と言われた真美子は、言いつけ通り、5日間を暗闇の中で耐え抜こうとするが……。
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物語は終始、真美子の視点で進みます。
明るい日常から急転直下、暗闇の中じわじわと煙にまかれる苦痛、ナパーム弾の不気味な甘い匂い、横暴な「兵隊さん」から振るわれる暴力……と、子供の目から見た非常事態の恐怖が、鮮やかなディテール描写をもって語られます。
戦争というどこまでも現実的な恐怖に、真美子の曖昧な記憶が、何かを見落としているような居心地の悪さを加え、独特の浮遊感を生んでいます。
読了後、晴々とした気持ちと暗澹とした気持ちが同時に襲いくる、奇妙な味の物語です。