つかみどころのない会話と、不穏なのにどこか笑える空気がクセになる作品でした。
第1話の「ねぇ、ポップちゃん」という呼びかけから、いきなり何か普通ではない場所に足を踏み入れたような感覚があります。細川が部屋に入ってくる場面も、説明しすぎないまま話が進んでいくので、読みながら「これは何が起きているんだろう」と自然に先が気になりました。
一方で、ただ暗いだけではなく、会話のズレや言葉選びに独特の面白さがあります。火流の問いかけに対する瀬古の冷静な返しや、「そのハンカチ、凶器だって」という台詞には、思わず笑ってしまう軽さがありました。
新人の林枯が登場してからは、物語の空気がさらににぎやかになります。明るく飛び込んでくる林枯と、周囲のどこか変な人たちとのやり取りが楽しく、不気味な事件の中に、いい意味で脱力する場面が混ざっているのが魅力的でした。
ライミとポップの関係や、細川が関わる過去の話が見えてくるにつれて、ただの変わった会話劇では終わらない奥行きも感じます。
不穏な事件、クセのある会話、変人たちの掛け合い、そして少しズレた笑いが好きな人に読んでほしい作品です。