第1章を読み終えてのレビューです。
残酷な幕切れから一転、目覚めた後の物語は驚くほど穏やかに流れる。
粥の香り、薄緑のカーテンを揺らす風、花壇の青紫の花。戦慄の死から始まった話が、こんなにも生活の体温を感じさせる場所に着地するのかと、読んでいて胸のあたりがほぐれていく。
その落差そのものが既に語りになっている。
そして、ヴィクターとアメリが登場することで場が一気に明るくなる。
夫婦漫才の中に引き込まれたリウムが照れて俯く場面が微笑ましい。
こういうきちんと笑えるところが作れているのは、作者が場の空気の操り方を心得ているゆえだ。序盤の静謐な恐怖と、章末の温かさを同じ一章に収めているのは心憎い演出。