俺の推しゲームの(エッチな)ヒロインが現実(こっち)の世界に転移してきた件。でも、中身が理想と全然違いすぎる!?オタクの俺、友達に隠し通すなんてハードルが高すぎる!
第3話 朝起きたら推しヒロインが裸で寝ていた件
第3話 朝起きたら推しヒロインが裸で寝ていた件
長いバイトとユウト、そしてリリカとの外出を終えたヒロトは、コンビニの袋を片手に自宅へ戻ってきた。
「はぁ……やっと休める……」
玄関で靴を脱ぎながら、心底疲れ切った声を漏らす。
袋を適当にキッチンへ置き、そのまま自室へ向かった。
ドアを開けた瞬間、そこには典型的なオタク部屋が広がっていた。
壁一面には《シルヴィア・スターライト》のポスター。
棚にはライトノベル、限定ドラマCD、古いゲームソフトがぎっしり並んでいる。
さらに、机の上にはシルヴィアのフィギュアが何体も飾られていた。
まさにオタクの楽園だった。
「やっぱ俺の部屋が一番落ち着くな……」
ヒロトは満足そうに呟く。
そして愛用の携帯ゲーム機を手に取り、そのままベッドへ寝転がった。
ベッドは散らかっており、横にはポテトチップスと炭酸飲料。
完全にダメ人間の休日スタイルである。
ゲームを起動すると、幻想的なBGMと共にタイトル画面が表示された。
『Lorian Freeks』
一世代前では大人気だったファンタジーRPG。
だが今では時代遅れ扱いされ、知っている人間すら少ない。
それでもヒロトにとって、このゲームは特別だった。
「さて……今日もシルヴィア様に会いに行きますか」
ログインすると、画面の中には美しい赤髪の少女が立っていた。
シルヴィア・スターライト。
ヒロトが人生で最も愛している二次元キャラクターだった。
「あぁ……本当に可愛い……」
彼はうっとりした顔で呟く。
そして昼間のユウトとリリカの会話を思い出した。
『彼女作れよ』
『少しは現実見なさいよ』
「……はっ。三次元なんて面倒なだけだろ」
ヒロトは鼻で笑う。
「シルヴィアがいれば十分なんだよ」
そう言いながら、彼はゲームを進めていく。
ジュースを飲み、ポテチを食べ、ボス戦へ突入。
「よし……あと少し!」
しかしその瞬間――。
プツン。
「……え?」
突然、ゲーム画面が真っ暗になった。
「うそだろ!?」
バッテリー切れだった。
しかも勢いよく立ち上がった拍子に、手に持っていた炭酸をゲーム機へぶちまけてしまう。
「ぎゃああああ!!」
ヒロトは顔面蒼白になった。
「待て待て待て!! これ限定モデルなんだぞ!?」
慌ててタオルで拭こうとした、その時だった。
ゲーム機が淡く赤い光を放ち始めた。
「……は?」
部屋の電気が点滅する。
空気が妙に重くなる。
ヒロトは思わず後退し、壁へ張り付いた。
「な、なんだよこれ……」
すると次の瞬間。
ゲーム機がふわりと宙へ浮かび上がった。
「うおぉぉぉ!?」
さらにその下には、赤黒い魔法陣のような紋様が現れる。
まるでファンタジー作品そのものだった。
「いやいやいや!! 怖い怖い怖い!!」
ヒロトはなぜか近くにあった玩具の剣を手に取り、震えながら構える。
「これ爆発しないよな!? 呪いとかじゃないよな!?」
だが数秒後。
魔法陣は突然消え、ゲーム機は床へ落下した。
ガタン。
静寂。
「…………終わり?」
恐る恐る近づき、玩具の剣でツンツンつつく。
しかし何も起こらない。
数分待っても異変はなし。
「……疲れて幻覚でも見たか?」
ヒロトは目を擦った。
「もう寝よう……明日もバイトあるし……」
壊れたゲーム機を机へ置き、深くため息を吐く。
「修理代、絶対高いだろこれ……」
そうして彼は、そのまま眠りについた。
――そして翌朝。
「……ん……」
ヒロトはぼんやりと目を覚ました。
すると、甘い香りが鼻をくすぐる。
「……なんだこの匂い」
どこかバニラのような香りだった。
さらに、右手に妙に柔らかい感触がある。
「……?」
寝ぼけたまま手を動かす。
むにっ。
柔らかい。
しかもかなり大きい。
「……え?」
ゆっくりと布団をめくった瞬間――。
ヒロトは完全に固まった。
「…………は?」
そこには、一人の少女が眠っていた。
長い赤髪。
透き通るような白い肌。
まるで人形のように整った顔立ち。
そして何より――。
「シ、シルヴィア……?」
ゲームの中にいるはずの少女。
《シルヴィア・スターライト》本人だった。
しかも――裸。
ヒロトは震える手で再び胸を触る。
むにゅ。
「…………夢?」
彼は自分の頬をつねった。
「痛っ!」
痛い。
つまり現実。
「や、やば……え、待って……本物?」
頭が完全に混乱する。
その時。
「……ん……」
シルヴィアがゆっくり目を開けた。
彼女は眠たそうに周囲を見回す。
知らない部屋。
散らかったオタク空間。
そして目の前には、自分の胸を触っている男。
数秒の沈黙。
次の瞬間――。
「へ、変態ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
パァン!!
凄まじいビンタが炸裂した。
「ぶべらっ!?」
ヒロトはベッドから吹き飛ぶ。
シルヴィアは慌てて布団で身体を隠しながら叫んだ。
「な、何なんですかここは!? あなた誰ですか!? 最低です!!」
「ま、待て待て!! 俺も分かってない!!」
ヒロトは慌てて両手を上げる。
しかしシルヴィアは警戒を解かない。
むしろ涙目で睨んでくる。
「こんな卑劣な真似をするなんて……!」
「だから違うって!」
その瞬間。
シルヴィアの手に光が集まり、美しい剣が現れた。
「神聖剣よ――!」
「いや待て!? 殺す気!?」
ヒロトは慌てて後退する。
だが次の瞬間。
剣が突然消滅した。
「……え?」
バランスを崩したシルヴィアは、そのままヒロトへ倒れ込む。
「うわっ!?」
二人は床へ転倒した。
しかもかなり際どい体勢。
至近距離で目が合う。
シルヴィアの顔が一瞬で真っ赤になった。
「~~~~っ!!」
彼女は慌てて飛び退く。
「ど、どういうことですか!? なぜ魔法が使えないんですか!?」
「それはこっちが聞きたい!!」
ヒロトも叫ぶ。
「なんでシルヴィアが俺の部屋にいるんだよ!?」
「え……?」
シルヴィアは混乱した表情を浮かべる。
「わ、私はシルヴィア・スターライトですが……?」
「やっぱ本人ぉぉぉぉぉ!?」
ヒロトは頭を抱えた。
「なんでゲームキャラが現実にいるんだよ!?」
「ゲーム……?」
シルヴィアは眉をひそめる。
「何を言っているんですか、この変態!」
混乱した彼女は近くの物を掴んで投げ始めた。
本。
フィギュア。
クッション。
「痛っ!? やめろ!」
最後にはスリッパまで飛んでくる。
見事に顔面直撃。
「ぐはっ……」
ヒロトは涙目になった。
「ゲームの中ではもっと優しかったのに……」
彼は改めてシルヴィアを見る。
長い赤髪。
整った顔立ち。
完璧なスタイル。
間違いない。
本物のシルヴィアだった。
「……マジでシルヴィアだ……」
その視線に気づいた彼女は再び警戒する。
「ど、どこを見ているんですか!?」
「い、いや……その……」
「いいから服を用意してください!!」
「あ、はい!!」
ヒロトは慌ててクローゼットを開ける。
しかし女子用の服など当然ない。
結局、自分の大きめのシャツを渡した。
シルヴィアは不満そうな顔をしながらも、それを着る。
サイズが大きすぎるせいで、逆に妙な色気が出ていた。
ヒロトは鼻を押さえる。
「……やばい」
そして次の瞬間。
つーっ。
鼻血が流れた。
「…………俺、死んだ?」
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