自主企画へのご参加ありがとうございます。
これはかなり強い作品でした。
父の匂い、手、正座、「そうだな」という短い言葉。
そこから大学のサークル、クイズ番組、値段を当てるという異様な場面へ繋がっていく構成が独特で、最初は少し歪なのに、読み終えると全部が父と息子の話として戻ってくるのが良かったです。
文章もかなり癖はありますが、その癖が作品の熱になっていました。
切削油や金属の匂い、米や卵の値段、ほどけていくGLLの刺繍。
ひとつひとつの描写が、主人公が見ないようにしてきたものを浮かび上がらせていて、読んでいて息が詰まる感じがありました。
父が多くを語らない人だからこそ、「そうだな」がこんなに重くなる。
優しさとか愛情とか、そういう言葉にしてしまうと少し薄くなるものを、最後まで別の形で書いているところが好きです。
読みやすい作品ではないかもしれません。
でも、かなり残る作品でした。
企画の中でも、静かな痛みと人間ドラマの濃さがしっかりある一作だと思います。