アメリカンドック

 

 ※短めです

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 広いエレベーターは上に近づけば近づくほど人気がなくなっていった。

 ピンッと音がなり、ガラス張りの小部屋にエレベーターは到着する。小部屋の自動ドアをくぐり抜けると風が涼花のマーメードスカートをなびかせた。


 「寄りたい場所ってここ?」


 涼花は辺りを見渡す。

 

 二人がいるのは、駅に面している大型商業施設の屋上だった。乗換駅でもあるこの駅は人で賑わっていて、この商標施設も大変賑わいを見せているのだが、ここは別だった。屋上は鳥一匹いない、閑静な場所だ。


 落下事件を起こしたくないという熱量が伝わる大きなネットで囲われた柵に、対して変わり映えしないベンチが5つ。人工芝生でも敷けば、このパッとしない雰囲気も変わるだろうに。


 「はーい、おやつ食べましょー」


 香苗はなれた様子でベンチに座るとガサゴソとビニール袋を探る。ここに来る途中にコンビニで買ってきたものだ。特に意識したわけではないが2人とも同じ物を買ってしまった。

 

 「お揃いアメリカンドッグどぞーー」


 香苗はアメリカンドックを差し出す。アメリカンドックの甘い生地の匂いが辺りに香る。


 涼花が口に運ぶと生地のほんのりした甘みが広がった。ソーセージは魚肉かと思うほど肉らしさがない。小麦粉やらなにかが練り込まれているのだろうか。


 涼花は頬をほころばせる。もう、肉の原型を保っていないソーセージが涼花は好きだった。


 「このソーセージじゃない感じおいしーよね」


 どうやら、香苗も同じようだ。香苗はケチャップとマスタードはかけない派らしい。ちなみに涼花もかけない。

 

 涼花はアメリカンドックを紙袋の中に一旦戻すと、ビニール袋をあさる。スッパッンとオロナミンCを涼花が開けた。栄養ドリンク特有の香りがアメリカンドックの匂いと混じって漂う。


 「オロナミンC?」

 「うん、久しぶりに飲みたくなって」


 香苗は背にもたれかかって空を見上げている。涼花もオロナミンCを片手に上を向いた。落ち始めた夕日は刺すような日差しを忘れたようだ。

 

 「ねえ、何かあるなら相談しなーね」


 香苗はボソリと呟いた。  

 

 


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