王道ミステリーの重厚さを、スマートハウスやAI、SNS、ハッキングといった現代的な要素で大胆に再構築していて、とても引き込まれました。
遺産相続、仮面の男、閉ざされた屋敷、次々に起こる見立て殺人という不穏な空気がありながら、謎解きの鍵が生体認証やログ解析、歩容認証などになっているところが新鮮で、最後まで興味を惹かれました。
特に印象的だったのは、よれよれパーカ姿の金田一はじめです。探偵らしからぬ雰囲気をまといながらも、事件の『バグ』を冷静に見抜き、真相へと迫っていく姿が魅力的でした。
また、単なる事件解決だけでなく、毒親や承認欲求、一族に受け継がれる歪んだ価値観など、人間ドラマの部分にも読み応えがあります。古典的な因習ミステリーへのリスペクトを感じつつ、それを現代ならではの題材へ落とし込んでいる点も面白かったです。
読みやすい話数の中に見どころがしっかり詰め込まれており、読了後には「もう少しこの探偵の活躍を見てみたい」と感じました。続編や次の事件があれば、ぜひ読んでみたくなる作品です。