一人暮らしをきっかけに、どこか孤独な大学生活を送っていた啓介。
そんな彼が、講義室で隣に座った謙太と出会い、少しずつ日常が変わっていく流れがとても温かい作品でした。
学食、ゲームセンター、ラーメン、部屋で過ごす時間。特別な大事件ではなく、何気ない大学生活の一場面一場面が丁寧に描かれているからこそ、啓介の心が少しずつほぐれていく様子が自然に伝わってきます。
謙太の明るさや少し強引な優しさも魅力的でした。人との距離を測りかねている啓介を、ぐいっと外の世界へ連れ出してくれる存在で、二人のやり取りを見ているとこちらまで嬉しくなります。
けれど、この物語はただ明るい友情物語では終わりません。
読み進めるほどに、最初の何気ない会話や行動の意味が少しずつ変わって見えてきて、胸の奥に深く残るものがあります。
孤独、優しさ、親が子を思う気持ち、そして友情とは何か。
短い物語の中に、温かさと切なさがぎゅっと詰まった、とても心に残る作品でした。