第三部 第十二話 期末試験
放課後の勉強会も順調に進み、遅れを取り戻した頃。
12月に入ると、街はクリスマスムード一色になる。
とはいえ、中学生には期末試験という試練がある。
「結子、今回はなんとかなりそうだね」
美穂がそう言ってくれた。
確かに、まだ1年生の2学期。
早いうちに対策が打ててよかった。
「美穂というお手本がいてくれたから
ありがとう」
私は美穂に素直に頭を下げた。
「私こそ、真人さんに教えてもらえるように言ってくれてありがとう」
「ううん、それは最初だけで、夏休み以降は美穂が一人でやってたじゃん」
「真人さんが信頼してくれたから」
美穂がほんのり頬を染めた。
期末試験の間も、放課後には教室に残って美穂と勉強した。
「試験中もやってるの?
適当な時間で切り上げなさいよ」
覗きに来た石田先生にそう言われたけど。
「やってると思ったから、見に来てくれたんでしょ?」
そういうと先生は笑ってた。
期末試験はそれなりに手応えがあった。
前回の中間試験のような不安はない。
そして、期末試験が終わって、成績通知書をもらった。
3/345
なんとか追いついた。
美穂はどうだろう?
美穂の方をチラリと見ると口元が笑ってる。
きっと満足いく結果だったに違いない。
休憩時間になって。
「美穂、どうだった?」
「これ」
美穂の成績通知書を見せてもらった。
2/345
「すごい、また上がったんだ!」
私たちがそんな話をしていると。
「お前らすごいな」
男子が声をかけてきた。
「えへへ、頑張ったからね」
「早川は小学校の頃からよくできてたけど、中岡もいつの間に」
「男子がバカ話しして遊んでる間に美穂は頑張ってたんだよ」
私がそういうと。
「もしかして、あれか?
毎日放課後に二人でなんかやってた」
「そうだよ」
「なぁ、俺も一緒にやっていいか?」
ちょっと意外だった。
「私はいいけど、美穂は?」
「私もいいよ」
「ちなみに濵田くんの成績は?」
「あんまりよくねーけど」
濵田くんの成績通知書には56/345と書いてあった。
「1学期の中間試験の美穂と同じぐらいだね」
「うん」
美穂が頷く。
「そうなのか?」
濵田くんが驚いた声を出した。
その日の放課後、濵田くんが勉強会に加わった。
「なぁ、中岡さんはどうやって50番近く成績上げたんだ?」
「んー、真人さんに勉強の仕方を教えてもらったの」
「真人さん?」
「うちのパパ」
「早川さんのお父さんって、あの若い人だっけ?」
「あれ、なんで知ってるの?」
「小学校のとき授業参観に来てただろ?
あのとき、すっごく目立ってたもん」
「あっ、あの時か」
「授業そっちのけで、奥さんばっかり気にしてたもんな」
そう言って濵田くんは笑った。
パパ、有名人だよ。
「で、勉強法って、具体的にどういうの?」
「えーっとね……」
美穂と私は濵田くんにパパに教えてもらったことを説明した。
「早川のお父さんってすごいな
俺の親父なんて、”勉強しろ”しか言わないいんだぜ」
「それうちのお父さんも同じだった」
「そうなのか?」
「うん、だから、夏休み頑張って、2学期の中間試験で結果を出して、お父さんに認めてもらったの」
「中岡、偉いなぁ
ちゃんとそこまで考えてるんだ
俺も考えないとな」
その日から、濵田くんも加わって、少し活気が出てきた。
濵田くんは理科が得意だから、自然と理科担当になった。
期末試験から一週間。
今日で2学期もおしまい。
「冬休み中はどうするんだ?」
「普段、フォローしきれてなかったところを集中的にやるつもり」
「濵田くんも、普段手が回らなかったところの復習をするいいチャンスだね」
「おう!」
「そうだ、美穂、明日1日だけ休んで女子会しよ!
うちにおいでよ」
「うん、いく!」
「俺も!」
「いや、濵田くん女子じゃないし」
「けち!」
放課後の教室に笑い声が満ちた。
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