犯罪歴があってもやり直す機会をというのは確かに人道的には正しい理念ですが、制度を悪用する者がいたり、実質的に罰が少なくなる事によってモラルハザードが起こるという世界観はとてもリアリティがありました。また、短い物語の中でとても綺麗に纏めた構成力も秀逸でした。
再犯を防ぎ、更生を促すための法律が、元犯罪者を優遇させ、結果的に別の新たな犯罪を生み出してしまう。法律が彼らの味方をしたとしても、他の眼差しは敵意に満ちている。人々の感情に寄り添っていない法律は何も変えることはできないんだなと
未成年時代に殺人を犯した主人公が、更生を支援する法律によって社会復帰していく物語。過去を隠しながら人生を築こうとする彼と、それを取り巻く社会や人々。読み進めるほど、「更生」と「被害者感情」の難しさを考えさせられる。因果応報ものではあるんだけど、ただのざまぁでは終わらない。読後にじわっと苦さが残る作品でした。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(421文字)