まず導入がすごく上手いです。
体育後に教室へ戻ったら、先生の大切な花瓶が粉々……という状況だけで、一気に読者を物語へ引き込んできます。
しかも、野良猫説やボール説など、生徒たちが真面目に推理していく流れが自然で、「なるほど」と思わせつつ、ちゃんとミステリーとして成立しているのが面白いんです!
特に印象的だったのは、足あとが残っていないという違和感。
シンプルな謎なのに妙に気になって、「犯人は誰なんだろう?」と読者側まで考え込んでしまいます。
短編なのに、しっかり推理の楽しさがあるのが素敵でした。
そして何より、本作最大の魅力は、空気感です。
ゴリラ先生の存在感があまりにも強い(笑)
「ウホッ」「ドラミング」だけで感情表現が成立しているのに、不思議とキャラクター性が伝わってくるのが凄いです。
コミカルなのに、生徒を心配する優しさまでちゃんと伝わってくるので、読んでいて自然と笑顔になれました。
さらに終盤。
「あっ、そういう構造だったの!?」というオチが、とても綺麗に決まっています。
ネタバレになるので詳しくは触れませんが、タイトル・会話・演出、その全部が最後につながる感覚が気持ち良かったです!
読み終えたあと、まるで実際に学園祭の演劇を観終わったような爽やかさが残りました。
ミステリー、コメディ、青春劇……その全部を軽やかに詰め込んだ、テンポ抜群の短編です。
「気軽に読めるのに、ちゃんと面白い作品を探している」という方には、とてもオススメしたい一作でした!