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  • 本編への応援コメント

    文芸部へのご参加、ありがとうございます。
    子供の退屈な宿題であるはずの「生き物観察日記」が、実は人間を水の怪異へと適応・固定させるための冷酷なシステムだったという設定の狂気に、最初から最後まで完全に圧倒されました。首筋の赤い線、洗面所に張り付く銀色の鱗といった、肉体が「変質」していく描写のリアリティが凄まじく、じっとりとした恐怖が皮膚にまとわりつくような感覚を味わわせていただきました。

    ■ 全体を読んでの感想
    最初は自分がメダカになって水槽に落ち、次の子供(ひまりちゃん)を「観察する側」に回されるシステムホラーかと思いきや、物語の終盤でさらに深い深淵へと引きずり込まれる構成の二段構えが見事すぎます。
    ラストで主人公の「名前」すら消え去り、すべてを忘れて心地よさに浸っている水槽の向こう側で、また新しい子供の「本日の観察を開始してください」という音声が響く。この絶望的な円環に、肌に湿り気が張り付くようなじっとりとした気味の悪さがしばらく続きました。

    ■ お題「省略法」の活用について
    本作では、テーマである「省略法」が、怪異の背景にある不気味さを際立たせ、読者を逃げ場のない恐怖の渦へ一気に引きずり込むための「冷徹な引き算」として、完璧に計算されて使われていました。

    ・【アプリの運営元や『市の制度』の背景の省略】
    なぜ市からそんな恐ろしいアプリが配布されているのか、学校や大人はなぜそれを「みんな通るから」と当然のように受け入れているのか、という社会的な背景や説明があえて一切語られず「省略」されています。この大きな引き算があるからこそ、「この街全体がすでに人間のものではないシステムに支配されている」という底知れない断絶が浮かび上がり、逃げ出せないディストピアとしての恐怖が極限まで高まっていました。

    ・【人間だった頃の『思い出』の省略】
    主人公が同期率100%に向かう中で、必死に思い出そうとするランドセルや教室、セミの声といった記憶が「水に溶かした墨みたいに広がって輪郭を失っていく」描写。彼が人間として過ごしてきた大切な日常の詳細が、怪異の浸食によって先代と同じように強制的に「省略」されていくプロセスそのものが、彼自身の自我の崩壊と、水の心地よさに呑まれていくラストの冷たい絶望を何よりも雄弁に物語っていました。

    ■ 最後に
    省略法という技法を、説明過多になりがちなSFホラーの設定をあえて闇の中に隠し、読者に「この世界はもう手遅れだ」と直感させるための「底知れない行間」として使いこなされた素晴らしい名作をありがとうございました。
    読後、水槽のガラスに触れる小さな指の冷たさが、今も脳裏に焼き付いて離れません。また部室にて、あなたの紡ぐ、緻密で容赦のない美しい悪夢のような物語に出会えるのを心より楽しみにしております。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。
    あの有名な童謡からヒントを得た、突飛な一発ネタなのですがとても丁寧に評論してくださりとても光栄です。