ティッシュペーパーは儚い物質である。
ひとたび風が吹けばたちどころに転がり去っていくものだ。
しかし、ティッシュペーパーはそこにある。
それだけでその樹海の姿がすっと浮かび上がってきた。
立ち入る人を飲み込む空間。
湿気、重なる葉の隙間からわずかに差し込む光、土と虫のにおい。
樹海の中でみつけた不協和音を、公に告げても、答えは曖昧だ。
知っていても教えない。
簡単に見いだした答えより、見いだせなかった問いに人は囚われる。
淡々とつづる筆致が絶妙で、最後まで樹海に引っ張り込まれた。
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