途中までの感想になりますが、タイトル通り、日常のほんの端っこにある疲れや息苦しさを、やわらかく掬っていく作品だと感じました。
新学期の教室で、勝手に「真面目な子」として扱われてしまう苦しさ。
好きだった音楽に急に手が届かなくなるような感覚。
学校へ行けなくなった子が、部屋の中で少しずつ沈んでいく時間。
どれも派手な話ではないのですが、だからこそ身近でした。
特に良いなと思ったのは、誰かが誰かを救う時に、過剰に正しいことを言わないところです。
「こうしなよ」と引っ張るのではなく、
少し横から風を入れるような優しさがある。
第1話の自由な女の子も、第2話の妹も、第3話の幼馴染も、それぞれ距離感がいいですね。
相手の苦しさを全部分かっているわけではないけれど、ちゃんと見ている。
その「全部は分からないけど、そばにはいる」感じが、この作品の温度になっていると思いました。
個人的には、第2話の蛍のたとえが印象に残りました。
好きなことに向かう人の光と、そこに吹いてくる風や、まぶしすぎるものへの怖さ。
音楽を諦めかけている主人公に対して、説教ではなく比喩として届くのが良かったです。
第3話も、ゆで卵の話みたいな何気ない会話が効いていました。
大げさな励ましではなく、くだらない話をしに来てくれる人がいる。
それだけで、人は少し戻れることがあるんだなと思いました。
文章も読みやすく、会話のテンポが自然でした。
重い題材を扱っていても、読後に苦しさだけが残らないところが良かったです。
この先、また別の日常の端っこにいる誰かが出てくるのかなと思うと、作品全体の広がりも楽しみです。
静かで、少し疲れていて、でもどこかにちゃんと優しさがある。
そんな作品として、続きを追わせていただきます。