拝読させていただきました。
夜の怪異をただの恐怖の対象として消費せず、そこに居座る人間の生活臭や、割り切れない後悔の湿り気ごと丁寧にすくい上げた筆致に惹き込まれました。
都合よく物事が噛み合わないもどかしさや、感情の揺らぎで足を取られる登場人物たちの姿には、飾らない生々しい体温が宿っているのを感じました。
理不尽な悪意に晒されながらも、安易な救いに逃げることなく、傷だらけの手で少しずつ事実を繋ぎ止めていく過程が実に泥臭く、確かな説得力を持って迫ってきます。
全編を通して漂う冷たい空気と、その底で静かに燻り続ける確かな執着の熱が、読み終えたあとも胸の奥に重たく残り続ける作品です。