因習村。我々が生きる世界とは切り離され、不気味な掟が支配する奇妙な村の事である。やってきた者たちに対して排他的で、攻撃的。掟に背いてしまった者の運命は、極めて残酷なもの。まさに、この世界に残された闇の秘境である。
……そんな因習村が、いっぱいある。この異世界にはダンジョンがない代わりに、因習村がいっぱいある。転生したはいいけれど、主人公が持っているのはホラー映画の知識だけ。冒険者達が次々と掟の餌食になる中、彼は必死に生き延びる。ちょっとお馬鹿な聖女様と一緒に、頑張って生きる。
……因習村がたくさんあったら、それはもう因習ではないのかもしれない。まぁ、恐ろしいけれども……
ホラーの文法を知っている主人公という設定を、単なるメタギャグに終わらせていない。
キヨスケが死亡フラグを読みながらも結局引き返してしまう場面は、知識があることと勇気や情が切り離せないという人間の本質を突いてて、笑いと緊張が同時に成立している。
またキヨスケが負傷しながらリンゴを守り続ける流れは、派手な描写に頼らず積み上げた小さな選択の連続で構成されていて、読み手が自然と彼に肩入れする構造になっている。
リンゴについても、天然に見えて実は覚悟と孤独を抱えているという設定が、会話の端々から滲み出てて、表面的なコメディキャラに収まっていない。
主人公キヨスケくんの転生した先は…なんと因習村!?
因習村とは、謎の祭りや風習に巻き込まれたり、鍬や鎌を持った村人に追いかけられたりと、日本人なら好きな人は多いと思います。(主人公の名前もそこから?)
怖さや因習村のあるあるを詰め込みつつも、ポーションや聖女が登場!
因習村と西洋ファンタジーの二つを同時に調理するのって至難の業だと思うんですけど、作者様の鮮やかな手捌きでコミカルに楽しく仕上がっているんですね。
そしてヒロインの聖女リンゴちゃんが天然ですごく可愛いんですが、彼女には秘密が…ぜひ皆さん作品を読んで確認してください。
キヨスケくんの運命やいかに!?
作者様の前作がとても面白かったのでまた読みに来ようと思ったら、本作もとても面白くて足止めを喰らいました。
作者様のセンスと書きぶりのファンになる一作です!