まず魅力的なのがヒロインです。一見すると、ヒロイン・アリーシャはとても感情が淡泊というか、事務的に見えます。そして、自分を大切にしない。
ヒロインが忠誠を捧げる第二王子に対しても、共に罪を背負う関係であり、とても尽くしているのですが、ドライに見えます。この態度が揺らぎ、彼女の情念があふれる瞬間がたまりません。
また、全体を通じて、あったかもしれない幸せ(あるいは、流されることを自分に許すことで手に入るもっと楽な生活)との分岐点や、過去との対比を思わせるポイントを、私はいくつか感じました。この部分で、読者の感情が動き、忘れがたい読書体験になるはずです。
美しい文章でつづられるこの作品、ぜひ!愛情表現の描写が、その、とてもよろしいです。インクとか……。
ラストまで、とても美しいです。
【レビューコンテスト応募】させていただきます。
魔族との混血であり、娼館で働かされていたアリーシャ。国のために王と真っ向から対立する第二王子・ノルヴィス殿下に助けられたアリーシャは、侍女としてその有能さを遺憾なく発揮していきます。
正義のために手を汚すノルヴィスに全てを捧げるアリーシャが、主人の命令によって配属した騎士団で出会うのが、光の道を突き進む騎士団長、レオンハルト。
この三人の関係性が焦ったくも美しくて、全員ブレない軸がありながらも影響し合い、同じように高い理想を目指しながらも光と影は相容れないことがもどかしい。大人で高潔な三角関係、といったところでしょうか。
ヒロインのアリーシャは溺愛される姫君ではなく、超有能な右腕となるクールで鋼メンタルな女性です。剣も強くてとにかくカッコいい…!媚びないブレない、強いヒロインが好きな方にはとてもオススメです。
国のために身を削る王子と、共に堕ちていく侍女、そして騎士の象徴たる男。三人に救いはあるのか…耽美で余韻のある筆致と共にご堪能ください!