主人公の諸岡一樹が手に入れたのは最強スキルでも伝説の武器でもなく、「少し丈夫な胃袋」と「ライター程度の火」。その上、転移直後に瀕死。生き残るための相棒は、頭の中に住み着いた軽薄で口の悪い悪魔です。
特によかったのは、生存への執着の描き方。
第4話の「焼けた肉」を前にした葛藤は個人的にすごく好きでした。道徳と本能、生存と嫌悪感。そのせめぎ合いが非常に生々しく、人間の弱さと強さが同時に描かれています。
また、悪魔との掛け合いがとにかく面白い。 倫理観ゼロの悪魔と、必死に常識へしがみつく元社畜。その温度差が絶妙で、重苦しいサバイバルの中にブラックユーモアを生み出しています。
無双はありません。 都合のいい救済もありません。 あるのは泥と血と空腹、そして「生きる」という意地だけ。
だからこそ、一歩一歩の前進に強烈な説得力があります。