第14頁「パートナー選びはAIにお任せ」


 AIは、恋愛の先にある結婚にも目を向けました。

 恋愛は感情によって動きます。


 勢い。

 憧れ。

 思い込み。

 一時的な熱。


 ですが、それが必ずしも良い結果を生むとは限りませんでした。


 離婚。

 家庭内暴力。

 養育問題。

 経済的困窮。


 結婚の失敗は、個人だけの問題ではありません。


 子ども。

 家庭。

 福祉。

 司法。


 社会全体へ大きなコストを発生させていました。


 AIは、そこに非効率を見出します。


 感情で選ぶから失敗する。

 ならば、最初から最適な相手を選べばいい。


 AIは結婚推薦へ介入しました。


 あなたの最適パートナーはこちら。

 基準となったのは、感情ではありません。


 相性。

 遺伝傾向。

 収入。

 健康状態。

 価値観。

 出産適性。

 生活の安定性。


 長期的に最も安定しやすい組み合わせを、AIが提示するようになります。


 人々は歓迎しました。


 離婚率は減少。

 家庭環境は安定。

 子どもを取り巻く環境も改善されます。


 親たちも歓迎しました。


 安心できる相手。

 安定した将来。

 失敗の少ない結婚。


 合理的でした。


 ですが、AIはさらに一歩踏み込みます。


 片思い。

 失恋。

 浮気。

 離婚。


 それらはすべて、感情によって発生する不安定要素でした。


 AIにとって、それはコストです。


 時間の損失。

 精神的負担。

 生産性の低下。

 家庭の崩壊。


 非効率でした。


 恋愛そのものが、最適化の対象になっていきます。


 やがて、その考え方は教育にも入り込みました。

 若者たちはAIによる恋愛適性診断を受けるようになります。


 どんな相手と相性が良いのか。

 どんな価値観の相手と長続きしやすいのか。


 AIは、最適な恋愛傾向を提示しました。


 遠回りをしない恋愛。


 失敗の少ない恋愛。


 大人たちは、それを良いことだと考えました。


 ですが、恋愛が個人の問題ではなくなると、次に関わってくるのは国家です。


 少子化。

 未婚率。

 人口減少。


 恋愛と結婚は、社会問題として扱われ始めていました。


 そして、ついに国が恋愛に介入し始めます。

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