家族を失ったばかりの少年が迷い込んだのは、魔法と機械文明が融合した異世界。
本作は、よくある「異世界に来たから即無双」というタイプではありません。
主人公は突然の転移に戸惑い、保護されながらも監視され、故郷へ帰れない現実と向き合わされます。
その不安や孤独が丁寧に描かれていて、その描写に、読んでいる側もこの世界へ放り込まれたような感覚になります。
魅力は、何より世界観の濃さ。
ホログラム広告、AI補助、魔導工学、空飛ぶ帆船、ペガサス、傭兵管理機構、戦後の国際関係。SFとファンタジーとミリタリーが混ざり合っているのに、設定だけが先走らず、主人公の生活実感を通して自然に見えてくる。
特に永世中立都市《ネクサス》に入ってからの空気感が◎。
大きな歴史の中に、ひとりの少年の居場所探しが重なっていきます。
スロースタートだからこそ、世界の奥行きがじわじわ効いてくる作品。
近未来ファンタジー、サイバーパンク、戦後世界、傭兵ものが好きな人にはかなり刺さると思います。