古い物に宿る魂魄があると言い伝えられ、古来より百鬼夜行にも『付喪神』というものが描かれてきた。今作は江戸時代より伝わる『黒漆に桜の蒔絵螺鈿の筆箱』が主人公の姉の友人で気になる女性を〝守護している〟という。読んでいる我々には「守、護……?」となる構成が実に巧みである。オカルトという枠で言うのであれば『クリスティーン』や『ザ・カー』と言った〝無人の物が牙をむく〟恐怖であろう。あちらより本作は青春の不条理である。しかしながら、この発想には脱帽だ。