冤罪を着せられ、仕事も未来も、人からの信頼さえも奪われた久城律子。
逃げ込んだ山中で彼女が出会ったのは、滅びた温泉郷に残された不思議な温泉と、一人の陰陽師の幽霊でした。
無実を証明する手がかりを求めて、律子は大正時代の温泉郷へと足を踏み入れます。
そこで待っていたのは、闇から生まれる怪異との激しい戦いと、陰陽師たちが守り続けてきた美しい温泉郷。そして、その華やかさの陰に隠された、決して見過ごすことのできない現実でした。
なかでも胸を打たれたのは、式霊を道具ではなく「相棒」と呼ぶ律子の姿です。
自分自身が理不尽に犯人と決めつけられ、どれほど訴えても声を聞いてもらえなかったからこそ、彼女は目の前の命や痛みに背を向けることができない。
無鉄砲に見える行動の一つひとつにも、彼女なりの優しさと譲れない信念が宿っています。
迫力ある陰陽術の戦い、少しずつ明らかになる温泉郷の秘密、そして、追体験であるはずの過去に生じ始める違和感。
滅びる運命にあるこの場所で、律子は何を知り、何を選ぶのか。
冤罪の真相と温泉郷の過去が、どのようにつながっていくのか。
美しくも不穏な世界へ、一歩踏み込むたびに先が気になる陰陽師伝奇ファンタジー。
ぜひ、この世界観にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。