「歴史に名が残らなかった女性医師」を主役にすえた点が非常に心惹かれました。宮廷にいる医師たちから馬鹿にされても、彼女は自分の信念を貫き奔走し、命を賭してまで、数え切れないほど多くの人々を救おうとします。まさに「仁医」。
物語の要となる血の鼎という呪具を中心に進む物語のスケールの大きさに圧倒されました。中国って本当に広いんだなあと体感できます。
それと地続きになるのですが、彼女の気宇の大きさにも心を打たれました。中国のどんな有名な武将であっても彼女の気宇のほうが上です。武将は多くの人を殺します。彼女は多くの人の命を救おうとしています。そちらの方が、どんなに世のため人のためになっているか考えるまでもありません。
敵役もとても魅力的な人物で、言っていることは筋が通っているんですね。彼の主張は正鵠を得ている。中国はそれで大きくなってきたのだと。主役の女性医師との信念のぶつかり合いが、とても読み応えがありました。
物語の最後も、余韻が残る、一幅の絵を見ているような気持ちになりました。素敵な短編小説と出会えて感謝しています。